水上真里、初めてのナイトハイク・バックカントリー @志賀高原

真夜中の雪山をヘッドライトを着けて登っていく。これまで何度も経験している昼間のバックカントリーとは違う感覚を抱いたのだという水上真里。彼女が初めて体験した夜明け前のBC登山の様子を綴る。
Text by Mari Mizukami

2017年3月4日(土)、初めてヘッドライトをつけて山を登ることになった。早朝に登山したことはあったが、暗闇の森の中を探検隊のようにヘッドライトをつけて登っていくというシチュエーションは初めてでワクワクした。昨シーズン、志賀山を登った時に見つけた南斜面。夜中から登れば気温が低いうちにポイントに到着出来るので、雪のコンディションも良いはずだ。これが今回の夜明け前のバックカントリーを決めたもうひとつの理由だった。

夜中の2:00に起床し、志賀山へと向かった。志賀山は最初に車1台を帰り道に置いて、もう1台で登り口付近まで行くようなルートをとる。登る人も少ないので、斜面は全てファーストトラックで滑れる山という印象が強い。

昨夜は早めに消灯しようと思っていたが、前日も上質のパウダーが奥志賀に降ったため、結局夜まで滑ってしまった。疲れは取れきれていないが、この時期のパウダーは貴重でスノーボーダーにとっては最優先事項なのだから仕方がない。

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ヘッドライトのわずかな灯りをたよりに真夜中の山を登っていく

夜中のハイクは視界が狭く、真っ暗な中をヘッドライトが照らす足元以外は何も見えなくて、正直リアル肝試しのようだった。志賀山は以前にも数回登ったことがあり片道3時間というのは知っていたが、暗闇だと距離感が全く違い、曲がらなければいけないところを一度通り過ぎてしまった。

前半は真っ暗闇の中のハイクだったが、後半の朝日が出る直前の明るさは幻想的だった Photo: Yuji Kaneko
前半は真っ暗闇の中のハイクだったが、後半の朝日が出る直前の明るさは幻想的だった 

メンバーはライダーの原 祐司と山好きな仲間たち。志賀高原に登るときはこの地域の山を熟知している祐司に連れていってもらうことが多い。ライディングスキルも知識もあるので心強い仲間だ。今回、女子は私1人だったのでハイクも早くできるように休憩も短めにして、雪の状態や風向きなどの意見も出して、みんなが余計な気を遣わないように心掛けた。自然の中で体を動かし、朝日を浴びると身体も心も健康になっていく気がする。空気も澄んでいて清々しい。朝日が昇り、徐々に明るくなり始め、頂上に着く頃にはすっかり明るい晴天となった。

日が昇ってからもまだ冷気が冷たくて晴れているのに涼しくハイクしやすい気候だった Photo: Yuji Kaneko
日が昇ってからもまだ冷気が冷たくて晴れているのに涼しくハイクしやすい気候だった 

仲間にイメージしているラインやスピード感を話す。ファーストトラックは実際に滑ってみないと雪質がわからないから、お互いに感じた情報を共有してイメージを固めていくようにしている。南斜面は陽が当たるから雪が結合しにくく層ができやすいため雪崩を伴う危険もある。事前のミーティングでは、「稜線をハイクしている時に雪が引き締まって安定しているのを感じた」など、ハイク中に感じた気温や風向き、雪の状態など自分たちが持っている情報を共有する。

仲間たちと休憩しながら談笑。GPSで位置を確認してまた歩き続ける Photo: Yuji Kaneko
仲間たちと休憩しながら談笑。GPSで位置を確認してまた歩き続ける 

山は雪が降った状態のまま夜になったので冷えた状態で朝を迎え、雪質はとても軽く上質なままだった。アプローチを縦で取れなかったので斜めに入るようまわりこむ。地形は下からも横からも見れなかったので、滑り降りながら判断しなくてはいけない。確認できなかった部分が滑れる状況じゃなかった時のことも考え、その時はすぐに止まって横に逃げられるように、ドロップする前にしっかりイメージする。

スピードつけてドロップインをした。
『軽い~!』

先シーズンから狙っていた南斜面。朝一の冷えで雪は引き締まっていた Photo: Yuji Kaneko
先シーズンから狙っていた南斜面。朝一の冷え込みで雪は引き締まっていた 

この感覚を求めてここまで登ってきた、そう思える最高の瞬間だった。

春山でも夜中から登り始めるナイトハイクは、陽が昇った頃に滑りたい斜面に到着するので、夜中ずっと冷えていた状態の雪はとても軽い。それに、日中のハイクは太陽の照り返しで日焼けをしないように息苦しくてもフェイスマスクをつけるところだが、夜中は日焼けの心配がなく、息苦しいハイクから開放されるということも女子スノーボーダーにとってはかなり大きいことかもしれない。

バックカントリーは雪質や山の美しさ以外にも、挑戦してやり終えた時の充実感、ゲレンデを滑る時よりも仲間意識が強くなる感覚、色々な要素を感じられるところが奥深い。新しい環境でスノーボードをする回数が増えれば経験値もどんどん上がっていく。だから、未だ経験していないことにこれからもどんどん挑戦してみたいと改めて思えた。

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水上真里(Mari Mizukami)
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