さる2019年2月22~24日、大阪・うめきたUMEDAIガーデンにて「COWDAY 2019」が開催された。昨年までは長野・白馬を舞台に4年間に渡ってジャンプとジブの2種目にて行われていた同イベントだが、第5回目となる今回はJR大阪駅の目と鼻の先(徒歩3分!)で、ジブに競技を絞って行われることとなった。 ALL Photo: Fuchimoto Kentarou
なぜゲレンデから大都会へと開催場所を変更したのか? COWDAYの仕掛け人である岡本圭司に話を聞いた。 「僕が大会に出ていたときは、X-TRAIL JAMやTOYOTA BIG AIRなどがあった時代で、東京ドームや札幌ドームにすごい人が集まってました。だけど、そういった大会もなくなってしまい……。これまでCOWDAYは白馬47で開催してきて、毎回、何百人っていう人が観戦しに来てくれてましたが、やっぱり山に来られる人って限られてしまうもの。だから、地元でもありイベントのメインスポンサー・牛乳石鹸の本社がある関西で何かできないかって考えていたんです。そんなときに開催場所であるUMEDAIガーデンの管理者に自分の高校時代の親友がなっていて、『スノーボードのイベントってできない?』って話が舞い込んできて。アーティストのライブ、インラインスケート、BMXやフリースタイルフットボールのショーといった街ならではのコンテンツも詰め込んで多くの人を呼び、ライダーたちは自分の滑りを大勢の人に見てもらい、来場者にはスノーボードのカッコよさを知ってもらう。都会でやることにこだわったのは、スノーボードを知らない人にも見てもらいたいっていう想いが強かったからなんです」
スノーボードの魅力を広めるために大都会で開催されたCOWDAY2019は、合計8,000人を超える来場者を記録した。
メインコンテンツであるジブのコンテストだが、取材班が撮影に訪れたのは決勝が行われる23日のみ。なので、ここからは、その模様をレポートしていこう。
まずはセクションの紹介から。アイテムは3つで、下から見て左側にダウンレール(約8m)、真ん中にはアウトから着地まで落差のある設計のフラットレール(約5m)、そして右側にはダブルダウンのキンクレール(約10m)という横並びの構成だ。また、スタート位置からレールまでの距離がかなりタイトという、ややストリートに近い仕様になっていたことも追記しておこう。 ウィメンズは夜の決勝のみだったが、メンズは前日の予選から勝ち上がってきたライダーに招待選手が加わり、セミファイナルが行われることに。
いざスタートの合図が告げられると、270インや450イン、センターレールからサイドのアイテムへのトランスファーなど、派手なトリックが連発した。だが、そういったトリックがメイクされたときに大きな歓声が上がるだけでなく、フロントサイドテールスライドでキンクレールを全抜きしたときなどもギャラリーは大盛り上がり。シティイベントにも関わらずツウな観戦者が多数いることに驚いた。
ただ、テクニカルなトリックで攻めたライダーに対して、普段はストリートで撮影に明け暮れるスタイル重視のライダーたちはメイク率が低く、やや苦戦を強いられていた。そして、ファイナルへと駒を進めたのは、角野友基、國武大晃、相澤亮、宮澤悠太朗、濱田海人をはじめ、どちらかと言えば普段は大会を転戦しているライダーが大半を占めるという結果に。
太陽が沈みアイテムがライトアップされると、ファイナルのスタートを待つギャラリーが会場を取り囲んだ。
ここでファイナルのルールを説明しよう。まずはコース下にいるジャッジがトリックの完成度やスタイルによって、各ライダーの名前が書かれたボトルにコインを投じる。その後、一般オーディエンスたちにも配られたコインをライダー自身がボトルを持って会場を回り投票してもらう。そのコイン獲得数がもっとも多かった者が優勝するというといったものだ。
まずはウィメンズから。スタート地点からアイテムまでの距離がタイトなため苦戦するライダーが多かったが、ミヨンがセンターレールからダウンレールへのトランスファーをかましたあたりから徐々にバトルはヒートアップ。國武真葵もトランスファーをメイクしたり、12歳の松岡杏樹もスピンアウトでジャッジにアピールしたり、広野あさみがどっしりしたスタイルで全抜きしたり……。そんななか優勝をかっさらったのは、滋賀出身の石原晴菜。誰よりもメイク率が高く、どのアイテムでもスタイルのあるトリックを披露していたのが勝因だった。
コース整備を終えたら、間髪入れずにメンズのファイナルがスタートした。1本目はライダーの紹介を兼ねていたが、その時点から本気バトルが開始しているかのように、ライダーたちは攻めまくる。スピンインやスピンアウトはもちろん、スピンしながらのトランスファー、3Dスピンアウトなど驚愕トリックのオンパレード状態。テクニカルなトリックが出たかと思えば、スタイルにこだわった高いオーリーアウトやキンク部分までトランスファーしてのレールインなど渋めの技も次々と繰り出された。
結果は、450インなどで会場を沸かせた濱田海人が3位。セッションの前半はメイク率が悪かったが、途中からスイッチが入ったかのように後半で追い上げた角野友基が2位。そしてフリップアウトや細かな乗せ替えコンボ、男気あふれるトランスファーなどをメイクした國武大晃が優勝を果たした。
<リザルト> ウィメンズ 1st_石原晴菜 2nd_國武真葵 3rd_広野あさみ Best Trick_國武真葵 メンズ 1st_國武大晃 2nd_角野友基 3rd_濱田海人 Best Trick_濱田海人 ギャラリーからの投票によるジャッジは斬新だけど、やや知名度の高いライダーが有利なのは間違いのない事実。だが、それを凌駕するトリックやスタイルを見せつければ誰もが優勝することは可能なはず。男女とも“魅せる”ことにこだわり、多彩なトリックをメイクしたライダーが頂点に輝いたことが、それを裏付けしているだろう。 シーズンのど真ん中に大都会のど真ん中で行われたスノーボードイベント。終わってみると、観戦者の興奮した顔と出場ライダーの満足した顔が印象的だった。こうした大阪の寒くて熱い夜は幕を閉じた・・・と思いきや、多くの人がアフターパーティーで、さらに盛り上がることに! このイベントをまとめたショートバージョンの動画が下記で公開されているので、ぜひチェックを!
また、COWDAY2019で取材班がMVPに選んだライダーのインタビューは後日掲載予定!