暗闇に囲まれた裏山で3台の圧雪車を飛び擦りまくった “Suiside Solution”

雪に恵まれた今シーズンの3月上旬、プロカメラマン集団 “STAY.RAW” が主催し、日本屈指のスノーリゾート “新潟・LOTTE ARAI RESORT” の裏山にて完全招待制のシューティング・イベント “Suiside Solution” が開催された。記事では、オーガナイザーを務めたYUYAのストーリーと、参加したフォトグラファーやライダーのコメントとともに、イベントを振り返る。
Text: YUYA

Photo: BEN

Suiside Solutionとは?

圧雪車 “Pisten Bully” をアイテムとして使用し、約3台の圧雪車を数パターンのセクションと共に設置。それらの圧雪車を飛んだり擦ったりする日本でも類を見ないイベント。今回、急なイベント開催にも関わらず、招待状を受け集まったライダーは総勢12人。暗闇に囲まれたナイトセッションが持つ独特な緊迫感が周囲に漂う中、平良 光、諸田直人、大出 準のパークビルダー3名の的確な指示のもと、ライダーの意見を踏まえながらセクション造設を開始した。

Photo: BEN
Photo: BEN
Photo: BEN

今回はジャンプ&ジブの2パターンが予定されていた。現地でカメラマンやライダーたちの意見を取り入れながら様々な形に造形し、小1時間ほどで2台の圧雪車を重ね合わせ、ブレードごと飛び越えるジャンプセクションが完成した。すると、平良 光を筆頭に梅原颯太、久保田 空也、小畑 魁士等が滑り始める。そんな中、唯一のスノースクートライダー 麻生航太が未知の動きで会場を盛り上げていく。

Rider: 平良 光 Photo: YUYA
Rider: 久保田 空也 Photo: ITUKI
Rider: 麻生航太 Photo: YUYA
Photo: BEN

次なる舞台はジビングセクション。リップからブレードを擦るラインを描きながらキッカーを造設し、ブレードの高さや向き、傾きなどを綿密に指示しながら作り上げていく。ライダーが、一度ブレードに入ると方向を変えられないため、リップの方向を間違えるとフロントガラスや本体への接触リスクが伴うという非常に繊細な作業。そして、このセクションからウィメンズライダーの石原晴菜、藤川桃華が参戦した。

Photo: BEN
Rider: 藤川桃華 Photo: BEN
Rider: 岩井哉人 Photo: ITUKI
Ridre: 川下順平 Photo: YUYA
Ridre: 梅原颯太 Photo: YUYA

このシューティングの模様は、ここで掲載している写真が全てを物語っていると思う。暗闇のなかで、自分たちで撮影するアイテムをクリエイトし、ライダーたちは最大限に自分のライディングスタイルを表現しカメラに収める。

Photo: BEN
Ridre: 小畑魁士 Photo: YUYA
Rider: 神宮寺海人 Photo: ITUKI
Rider: 大出 準 Photo: BEN
Rider: 諸田直人 Photo: YUYA
Photo: BEN
今回のセクション造成に携わった確かな腕を持つオペレーター3人(Masashi Takeda, Eiji Yamaguchi, Ken Kinoshita) Photo: BEN

自分自身、STAY.RAWのコンセプトである ”撮りたい物しか撮らない” を貫き続け活動してきました。この圧雪車越えは、何年か前よりずっと頭の中にあった撮りたい構図のうちのひとつだったんです。そんな夢のような舞台を用意してくれた “LOTTE ARAI RESORT” さん。色々な意見をまとめ現場を作り上げてくれたMasashi Takeda, Eiji Yamaguchi, Ken Kinoshita。パークビルダー兼ライダーとしての参加してくれた、平良 光、諸田直人、大出準。そして、招待状を受け取ってくれた勇気あるライダーたちに改めて感謝したいと思う。

オーガナイザー: YUYA  Photo: BEN
Photo: BEN

参加したフォトグラファー&フィルマー、ライダーのコメント

「ミスをすると大怪我につながるので、1つのセクションを造成するのにも圧雪オペレータやビルダーだけでなく、ライダーの意見も組み込み念入りに仕上げる。そんな緊迫した状況下での撮影は初めてだった。印象的なライダーは、独特なフリースタイラーの平良 光や、最近ますます上手くなった梅原颯太。そんな中で特にインパクトのあるライダーは今回初めて撮ったスノースクートの麻生航太ですね。今まで見たことない動きに驚きが隠せませんでした」—- Photographer: BEN

Ridre: 久保田空也 Photo: ITUKI

「今回、STAY.RAWからの招待枠(Filmer)で参加しました。イベントセクションでの印象的なライダーは、スキルはもちろん、味のあるスタイルが一際目を引いた梅原颯太&久保田 空也。誰よりもハイクしトライし続けた、小畑魁士の若さ溢れるアグレッシブさも印象的でした。そして難しいセッションにも関わらず参加してたウィメンズライダーの石原晴菜、藤川桃華のジブセッションも会場を沸かしていましたね。撮影陣ではSTAY.RAWチームがライダーを鼓舞し、一体となって会場を盛り上げ、セッションしている姿にとても新鮮さを感じました」—- Filmer: ITUKI

Rider: 石原晴菜 Photo: ITUKI

「“STAY.RAW”との撮影は何度か経験がありましたが、今回のようなイベントは初めてで、いつもより気合を入れて臨みました。当日のセクションは、裏山の斜面を使ってのアプローチで、所々薄暗く見えにくい場所もありライン取りが難しかったです。リップやランディングに関しては、オペレーターやビルダーさんとの連携で、飛びやすく造形してもらい、いろんなトリックに挑めました。普段絡むことのないライダーとのセッションなど、こんな貴重な経験ができ感謝しています」—- Rider: 梅原颯太

Rider: 梅原颯太 Photo: BEN
Photo: BEN

「はっきり言ってこんなチャンス日本じゃあり得ない。現場合わせの台の上から圧雪車が睨む、その非現実の光景を喜べる人がいたかはともかく、こんなチャンスは2度とない事は濃厚だと思います。些細な狂いで心身と財産に致命的なダメージを負うリスクを抱え、闇の超即席キックへの自殺志願的ドロップに挑めるのは不屈の覚悟か何かの欠落か。酷い悪夢から覚めた安堵の握手と、薄明かりに達成感を覗かせたあいつの朦朧と疲れた笑顔はネジが飛んだ幸せ者に違いなかった。多謝!」—- Rider: 平良光

Rider: 平良 光 Photo: ITUKI

Invitational Rider
平良 光、諸田直人、大出 準、梅原颯太、神宮寺 海人、小畑魁士、久保田 空也、麻生航太、川下純平、岩井哉人、石原晴菜、藤川桃華

Photographer&Filmer
BEN, ITUKI, YUYA

STAY.RAW: @stay.raw_crew

Photo: BEN