Hokkaido Powder Belt 4
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1213455324 064翌朝、例の里山のボトムに到着すると、それぞれが山を登る準備を進めていく。するとやっぱり全員がスプリットボードをチョイスしていた。この旅の企画で山を登る際は必ずスプリットボードが登場する。もちろん山の地形や一緒に登るメンバーによってチョイスするギアは異なるが、パウダーベルトエリアではスプリットがよりフィットするのだ。筆者も彼らに同行させてもらったが、やはりスプリットでのハイクの楽さは格段に違う。 今回アタックする山はメンバー全員が初めて登る山なだけに、スマホの地形アプリや経験を元にハイクルートをみんなで相談しながら登っていく。確か標高 1,000m に満たない里山だったと記憶しているが、ボトムからのハイクで途中休憩を挟みながら 2 時間半~3時間程度でほぼ山頂付近の狙っていた北斜面に辿り着いた。すると、そこには今回も極上のパウダーがあった、さすがパウダーベルトだ!ここからは、新たなメンバー 3 人のコメントとともに、そのときの感想を伝えていきたいと思う。まずはトマム里山ハントの撮影についてウエさんはこう振り返る。「前日に『実際地形はどうなのか?』とか想像しながら盛り上がってて、その印象が強いかな。みんなやっぱり山のことを結構知ってる。ジュニアとかヤマとか、あの 2 人は楽しく適当にやってるようで、山の地形図とかを見るのが好きっていうか、得意なんだなって。こっからここまでだったら何分だとかイメージしながら、そういう山の歩き方っていいなって思ったね。初めて行くところって、どうなるかわからないけど楽しみだったり。 天候とか見ながら、どこの斜面がいいのかとか、ダメでも思い出に残ったりするからね。みんなで初めてやった里山セッションは、そういう意味でも面白かったよね」 初見の里山をみんなで探りながら滑る。まさにスノーボーディングを楽しむうえで欠かせない冒険的な要素がこのセッションに凝縮されていたように思う。それはミノッチも同じように感じていたようだ。「トマム周辺にあんな素晴らしい山があるっていう、色々とポテンシャルが高いなと思いましたよね。時期的にも 3 月頭だからなかなかパウダーを狙うのがシビアになってきてるタイミングだったと思うんですけど。その中でパウダーセンサーというか、嗅覚に鋭い人たちの集まりだったからあそこに導かれたっていうか…。みんな初めての場所だから冒険的な要素もありましたし、ちょうどいい距離感でいい斜面にたどり着けて、雪も良くて帰りもスムースに帰ってこれたから大満足でしたね」 ちょうど初春にあたるこの時期の日本は、3 日に 1 度くらいのペースで南岸低気圧が発生していた。しかもこの撮影の期間中に、トマムにとってベストなラインで低気圧が通過するという奇跡が起こったのだ。里山セッションをしたこの日、ある積雪予測アプリの情報では、このトマムエリアが日本で最も降雪に恵まれた場所だったことがわかった。さすが、CAR DANCHI メンバーは色んな意味で持ってる!そう感じざるをえなかった。約 10 年前にパウダーベルトの上富良野に移住したジュニアは、トマムエリアや今回滑った山の特徴についてこう教えてくれた。「あの辺は内陸だから雪の量は少ないですけど、やっぱり雪質がいいですよね。しかも滑った斜面は北斜だから、よっぽど気温が上がらない限りはずっといい状態のままだと思うんですよ。このエリアだから気温もすぐ低くなるし、北斜だから雪があまり固くならずに良い状態がキープされる。そういう意味では貴重な斜面ですよね。最近メジャーな山は、いい日があれば絶対ラインだらけになってしまう。ちょっとマニアックな山でもいいから、あまり人が狙ってこない比較的面が綺麗な里山ってのは貴重ですよね」 近年、パウダーベルトもインバウンドの影響で海外からの滑り手が増え、ハイシーズンの山はポイントパニックになっているという噂だ。そうした中で、メジャーな山を避け、こうした里山を狙うという考え方も大事になってくる。もちろん知識と経験のある人と山に入ることが必要なのは言うまでもないが、そうした山滑りに於いて、この里山でのセッションは新たな価値観を感じることができた貴重な1日になった。そしてこの奇跡を起こした南岸低気圧は、翌日のトマムキャットでも THE DAY を引き寄せることになる。CAR DANCHIメンバーのハントは続く 里山バックカントリーに入る前の様子。ジュニアとウエさんは今日のハイクルートを確認 ク後半、里山のピーク手前からの景色。山の向こう側にはリゾートも画撮影をするオレンジマン(笑)。このシーンのムービーはどこで見れるのか「今の斜面良かったね!次はどこを滑ろう?」!?!?メンバーみんなで今日のコンディションを確かめながら滑る斜面を探していく ハイ木に隠れてこっそり動トマム周辺の里山バックカントリーセッション

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