Hokkaido Powder Belt Vol.1
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Crast Snow057星野リゾート トマム・OMO7旭川を繋ぐ北海道パウダーベルトトリップ北海道の最高峰・大雪山旭岳ではメジャーポイントを避け、スプリットボードで裏の世界へ向かった大雪山旭岳とスプリットボードの価値観昼に旭岳へ到着すると、ロードサイドや駐車場で滑り手たちが何やら騒ついている。中川が「どうしたの?」と尋ねると「クラストが!? 」という単語が飛び交っている。車から降り雪に触れると、一見パウダーに見える雪なのだが表面がパリパリに凍っているではないか。しかもその厚みは3センチもあり、氷の下にはフカフカなパウダーが閉じ込められていた。正直これほどのクラストは初めて経験した。ロープウェイを登り、いざ滑り出すとどこの斜面も満遍なく全面が均一に同じクラスト状態に仕上がっていたのだ。このコンディションでは表面の氷をパリパリ割りながら滑るのが精一杯で、その下のパウダーまではありつけない。誰もが予想しなかったコンディションに、ふたりも苦戦を強いられた。「やっぱり山は急に読めないことが起こるよね。旭岳でも結構そういう場面に遭遇する。急に雪がドカ降りする日があれば、気温が急に上がって一晩で雪が一気になくなることもある。それに、今回のような『そんなんなるの?』っていうレベルのクラストもそう。あるんだよ、ああいうクラストが時に…。昨日はパウダー最高で、みんなが帰り出した夕方くらいから翌朝までの間に雨が降って、急な気温変化によって何かが起きたわけでしょ?たぶん。そういうのも含めて面白いんだよね、山は」 中川が言うように、山は自然について様々なことを学ばせてくれる。そして標高2,291mと北海道の最高峰である旭岳では、そのスケールも大きくなるのだろう。クラストは翌日になると氷が溶け、いくらかマシになっていた。「よし、これくらいなら大丈夫そうだ」そう中川が話すと、ふたりはスプリットボードを車から取り出した。前日のホテルでスプリットの話題になり、自分も旭川発祥ブランドであるFIELD EARTHのスプリットボードを中川から借りて再び山へと向かった。 旭岳は、ロープウェイで一気に森林限界点まで到達することができ、圧雪車一台分の幅で踏み固めたコースが左右にあるだけで、それ以外の斜面は全て自己責任で自由に滑ることができる。もちろんそこからハイクし、メジャースポットやピークからバックカントリーが楽しめる。しかし、この山を熟知したふたりは、スプリットをウォークモードへ切り替え、より人が踏み込んでこない裏スポットを目指して歩き出した。クラストの写真がこれ。3センチほど表面が氷で覆われているのが分かるだろうか

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