PowderBelt in Hokkaido054では、このキャットツアーはどのような想いでスタートし、トマムのサービスとして定着するまでにはどんなストーリーがあったのだろうか。責任者の玉井幸一さんにお話を伺った。「もともとスキー場からアクセスできる場所でキャットツアーをやるつもりはなかったんです。その理由は、スキー場でやった場合、キャットサービスをしているエリアにリフトを使ってコース外に出てしまうゲストがいるかもしれない。その環境の中で安全にツアーをやることはできないと思ったからです。それならキャットツアーだけを運営するフィールドを、全く違う山で開拓しようと考え、2004年から場所を探していきました。より雪が積もりやすい北東斜面が多い『狩振岳』には色々な可能性があると思って、このフィールドに決めたんです。キャットツアーの場合、圧雪車が通れるルートを探さなくてはならないので、地形図を見ながらエリアを開拓していきました。そして、2006年の1月からツアーが始まったんです」 参加したツアー中に、スタッフの方がC1(シーワン)、C2、C3という呼名でルートをチョイスしていた。その意味とは何なのか尋ねると。「それはキャットのルートで、CATのCをとって一番最初に開拓したところがC1で、2番目にC2、C3というふうに、そのルートのピークから滑っていく感じなんです。16年間やってきた経験で、その日のコンディションや雪の着き方でどこのピークに行くかを決めるんです。オープンで滑りやすいツリーランのツアーを3日間くらい続けられるバリエーションがあります」 時間をかけながらルート開拓をしてきたトマムのキャットツアー。あらためて、このサービスの魅力や参加者のレベル、また狩振岳の地形について聞いた。「やっぱりキャットは楽だし、必ずノートラックが滑れることが魅力です。一回のツアーで平均6本くらいは滑ることができますから。それに、変化に富んだ地形があるので、飽きないことでしょうね。リピーターも多く、シーズンに3~4回も来る人もいます。参加者のレベルは最低限パウダーが滑れて、自分で板をコントロールできる上級者。彼らにとってここは特別な場所なんだと思います」 海外のキャットツアーを見てきて、手付かずの山でやりたいというトマムのCATチームの想いが実現したこのサービス。限られたメンバーだけが大自然の中で贅沢なスノーボーディングを体験できる、これがこのキャットツアー最大の魅力なのだろう。北海道パウダーベルトを巡る濃密な6日間中川伸也山内一志程よく開けたツリーの中を爽快に滑り美しいシュプールを描いた中川大型テント「パオ」で楽しむ贅沢なランチもこのツアーの醍醐味。この日はスタッフの玉井さん(写真・奥)とこのツアーの魅力について話し合った
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