OJKspecialsnowboards ビハインドストーリー

interview 岡田幸義(岡田樹脂工業 社長)

~ライディングの楽しさとスノーボードのカタチに魅せられて

「岡田樹脂工業」スノーボーダーにとってはまだまだ知られていない会社名のひとつかも知れない。OJKspecialsnownboards、OJK PLATE、ここ数年の間に少しずつだがその名は広まりつつ、特にOJK CARVING PLATEは今季話題になっている商品でもある。社長を務める岡田幸義氏は現役のプロスノーボーダー、そしてJSBAアルパイン18期デモンストレーターというバリバリの滑り手だ。話を始めるとスノーボード好きが全面に滲み出る、そんな岡田氏にOJKというブランドが現在に至るまでのビハインドストーリーを聞いてみた。


現役スノーボーダーであり、ブランドを抱える会社社長というキャリア

もともとは自分が26歳くらいまではハーフパイプとかフリースタイル大好きで、そこで大会に出て上を目指していたんです。その頃同時にスクールでインストラクターを始め、自分もライダーとしてお世話になっていたバーレーヘッズという会社でスノーボードの開発に関わり始めました。インストラクターをやりながらっていうことで、次第に大会もテクニカル選手権の方に挑戦するようになっていきました。ずっとフリースタイルのボード中心に乗り続けてきたんですが、実はプロになったのはアルパインのGSで2009年。デモンストレーターもアルパインなんですが、アルパインでテクニカル選手権に挑戦し始めたのはここ3~4年の話なんです。自分のライディング自体はフリースタイルから始まってて、テクニカル選手権でもフリースタイルで15年以上挑戦し続けましたね。2005年よりOJKというブランドを始めて、ブランド自体のライダーのサポートやプロモーションもしつつ、大会に出たり、大忙しでやってきた感じです。今はもう一度フリースタイルにも復帰しようと減量中です。

もともとはフリースタイルから入ったスノーボード、アルパインでプロ、デモンストレーターとなり、今再びフリースタイルへと向かうために体作りに取り組んでいるという

スノーボードを始めて、これうちの工場でつくれるんじゃないか?って思ったんです

自分の父がプラスチック系の会社をやってたこともあって、生まれた頃から身近に大きな機械があるっていう環境で育ったんです。ですから、初めて自分でスノーボードを手にしてその楽しさを知った時「これうちの工場でもつくれるんじゃないの?」って思ったんですよ。そこで父に見せて相談したら「これはプラスチックの成型じゃないから無理だね」って。でも、その時を機にモノとしてのスノーボードにもすごく興味を持ったんです。それまではそんな環境で育ちつつも、モノづくりなんて興味を持ったことはあまりなかったのに。笑
その後、ライダーとしてボードの開発に関わってから、そのモノづくりの魅力にはまっていきました。スノーボードというモノのカタチ、曲線とか、そこがすごく好きで、僕にとってのスノーボードの魅力は滑ることだけじゃなくて、モノとしての好きという気持ちも最初からすごく大きかったんです。

小さい頃から大きな機械が身近にある生活、ただモノづくりのために真剣にいろいろ自ら学ぶようになったのはスノーボードに出会ってから

自分でつくったボードで挑戦するという世界

たくさんの実力派スノーボーダーが集まってくるテクニカル選手権、特にフリースタイルは参加人数も多い、そこに自分で開発したボードを持っていって参加すると、周りからのプレッシャーをすごく感じるんです。自分が好成績を出せなければ、自分のブランド自体の評価になっちゃいますから。技術面もそうですが、メンタル面でもタフにならざるをえなくて、そういう部分はだいぶ場で鍛えられましたね。2009年にアルパインのGSでプロになった時にも「自分でデザインしたボードでプロになる」というのが自分の目標だったんです。2005年に自分でアルパインボードを開発して、4年かけて自分のボードでプロになれたんです。そんな風に、滑ることと共にモノづくりにも常に全力で向き合うっていう環境でやってきたって感じです。

滑りて手としても様々な挑戦を繰り返してきた経験と共にどんどんモノづくりへの情熱も高まっていったという

ボードづくりとライディング

自分でデザインしたボードでも乗り込んでいくと、もっとこうしたいとか改良したいところが見えてきたりするんですが、モールドを大幅変更したりするには費用も膨大にかかってしまうんです。だから最終的には自分がボードに合わせていくってことになる。そこに自分を合わせられるかどうかが実は重要で、自分でボードづくりをしているとそこがだんだん見えてきて、だから技術的にはそれをより意識するようにしました。つまり、ボードづくりでは合わせやすさ、扱いやすさみたいなことをすごく気にしてつくるようになってきましたね。さらにレース用ではスピードに耐え、スピードアップさせるためにボードの構造、その時代によってコースも変わってくるので、それに合わせた曲がり方、走り方ができるカタチを考えています。

自分の感覚だけでなく、様々なスノーボーダーからの意見を集め改良へと進む。しかも自分の会社でできるという道も模索しながら。モノづくりには当然大きな資金も必要でなかなか簡単にいかないことばかりなのだという。

スノーボードにプレートを装着すると「グリップの仕方が変わる」

近年、スピードを求めるアルパインボードの世界でプレートが使われるようになってきて、滑りの技術自体も変わってきましたね。ボードはよりしならなくなって、グリップ感が変わります。アルパインボードでは、きれいな弧を描くというよりは、ドンとグリップさせる。きれいな弧を描くよりはその方がスピードは減速しない。そういうメリットのために使います。
フリースタイルでもプレートが使われるようになってきましたが、OJKでつくった樹脂製プレートはアルパイン概念のプレートとは違った効果というか、ボード全体を使ったターンをサポートするようなグリップを目的としてつくりました。僕がアメリカでトレーニングしていた時に「横乗りっていうのはもっと前に乗らないと」って言われたことがあるんです。どうしてもスピードアップしてターンしていくと体がついていかなくなって後傾気味になりがちになるわけです。だからプレートを入れてノーズをおさえることでターンのバランスを修正する。そうすることでテールもスムーズに使えるようになる。そこを目指して開発に取り組みました。

アルパインにはじまり、カービングを極める目的においてフリースタイルでもプレートを使用するライダーが増えている。岡田氏がつくった樹脂製プレートはさらにもっと手軽につかえて、横乗りの理にかなったボード全体を使ったカービングを可能にすることを目的として開発したものだ

3Dプリンターで試行錯誤繰り返しての製品化

どのくらいのエリアまでをプレートで抑え込むのか、その形状はかなり試行錯誤を繰り返しました。幸いにして今の時代3Dプリンターがあるので、形状の試行錯誤のための試作品はそれで効率良くつくることができます。ただ、3Dプリンターを使いこなすのに相当な時間を費やしてますが。(笑)重量も最小限に抑えつつ、耐久性も十分でしかもしっかりと荷重でききる。うちが得意とする樹脂成型の技術を十分に駆使した製品ができました。特に脚力の少ないレディスやジュニアにもグリップのサポートはとても大きなメリットになるので、今そのためのプレートも製品化を目指しています。さらにアルパイン用も開発中です。もちろん金属製のプレートとは違った効果にはなりますが、このプレートのメリットを生かしたライディングを楽しめると思います。

様々なテストを重ねてつくられたミドルとハードの樹脂製プレート。今後は小柄なレディスやキッズのためのサイズ、アルパイン用もリリース予定で進めている

岡田氏はスノーボーダー、メーカーのオーナーでありながら、最近ではスノーボード業界の様々な活動の中心でも活躍している。そんな岡田氏のスノーボードへの熱い思いは、OJKというブランドの中でどんなカタチとなってモノを生み出していくのか? それがとても楽しみだ。

 

これが話題のOJK PLATE。簡単に装着可能でしかも軽量設計。ボードへの荷重バランスを整え効率の良いターンを可能にする

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