韓国で人気の横ノリマガジン「THE REEAL MAG」編集者が観た平昌五輪ハーフパイプ競技の裏側

韓国でスノーボード、サーフィンなどアクションスポーツのムーブメントを紹介するメディア「THE REEAL MAG(リアル・マガジン)」。リアル・マガジンをプロデュースするリ・ウォンテック氏は、かつて日本の雪山で何シーズンもを日本の著名ライダーたちと滑っていたという経歴の持ち主で、日本語にも長けている。そんな彼から、先日終わったばかりの平昌五輪のレポートが届いた。自国での五輪開催。平昌のフェニックパークを良く知る彼が見たこの冬の大イベント。ちょっと違った角度から見た平昌五輪ハーフパイプ競技の裏側をお届けしよう。

DSC074592018平昌冬季五輪スノーボードハーフパイプ、ビッグエア、スロープスタイル、スノーボードクロス競技が平昌のフェニックスパークで行われた。 このビッグイベントの開催に向けて、この冬のフェニックス平昌はシーズン中盤に営業を中止し、五輪の運営に突入した。 「リアルマガジン」ではハーフパイプ男子決勝戦を観覧しようとフェニックス平昌に向かった。
DSC06938通常フェニックススノーパークに行くためには、高層道路を綿溫(ミョンオン)IC向かうのだが、五輪期間は交通規制があり、綿溫ICまでいくことはできない。
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つまり、フェニックススノーパークで行われる競技を観戦するためには、平昌ICで出なければならない。 実は全くインフォメーションがなしに移動をしたが、高速道路上にしっかり標識があって、迷わず向かうことができた。

平昌ステーション
平昌ステーション

DSC06962競技場へ向かう高速道路と一般道路の中で最も大きく目につくのは’オリンピック専用道路’だ。 韓国でも1車線がバス専用レーンになることはよくあるのだが、この地域では一部区間の1車線が’オリンピック専用道路’とされていた。 平昌オリンピックのラッピングがされた車がこの車線を通り、フェニックスへ向かう。
DSC06976車で会場に向かうには、チャンピョン町、炭川(タンチョン)近くの臨時駐車場に車を止めて、ここからシャトルバスに乗り込まねばならない。数多くのスタッフが道案内をしているために方向を失う心配はなかった。
DSC06990シャトルバスを降りると、チケットがない人は現場でチケット購入が可能(当日券に余裕がある場合のみ)だった。チケットを持っていても事前の所持品検査があり、これにかなり時間がかかる。そのためシャトル便も試合時間開始前に余裕を持って到着する便が多かった。
DSC06999DSC07009所持品検査を終えてハーフパイプ競技が行われる会場に向かう。競技に向けて準備された各種の臨時の建物に囲まれて、いつものフェニックスパークとはまったく違う様子だった。
DSC07012この巨大な臨時観客席を過ぎると、ハーフパイプ競技場だ。
DSC07014やっと到着したハーフパイプ競技場。昨年テストイベントが開催された時にも訪れたが、平昌五輪本番、それも決勝戦となれば、その時とは全く違う雰囲気が漂っていた。
DSC07016写真の場所がB(スタンディング)観覧客席。スノーボード種目の場合、A(指定席)とB(スタンディング)でチケットが分けられ、チケットの金額ではA席がB席より2倍ほどの価格設定。
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A席の場合、混雑するB席とはちがって若干余裕がある様子。 競技場との距離はB席より遠いが、座って楽に試合を観戦できるのはいい。多くの人が応援グッズを片手にこの席で盛り上がった。
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B席から眺めたハーフパイプ。平野歩夢選手がドロップの順番を待っている。これは300mm望遠レンズを使って撮影したが、これ以上近く撮影することはできず。 500600mmほどの超望遠レンズを持ってくれば良かったと後悔。
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昨年テストイベント時には、ハーフパイプ競技場のすぐ下で、観覧と撮影が全て可能たが、実際の平昌五輪の期間には数種類のクラスの入場可能ゾーンが生じた。 最も競技場と近い方は、選手らとスタッフ、2番目に近い位置は公式メディア、そしてその次がBの観覧席の順だった。
DSC07105DSC07242盛り上がるA席でのギャラリー。自国の選手がドロップインすると盛り上がりは最高潮に達していた。

DSC07139戸塚優斗がファーストヒットでリップにかかって倒れてしまった。16歳ながら世界のトップクラスの選手たちとの接戦の末に勝ち上がった決勝戦で、果敢に攻めた結果だが、残念でならない。
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家でTVを通じて、見るのと同様、大会現場でも電光板を通じて選手たちのポイントチェックが可能だった。 ただし、場内の解説はハングルと英語で進行されたが、2人とも技に対する説明は大幅に足りないと感じた。 選手の技一つ一つがクリティカルした瞬間、より専門化された解説者が適切な解説を付け加えてくれたならば、現場の雰囲気ははるかに盛り上がったのではないかと思う。残念だ。
DSC073432本目のランでショーン・ホワイトが転倒し、これで2本目のランで最高得点を記録している歩夢に金メダルの気運が傾くように思えたのだが。。
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そして自分の最後のランの順番を待っている歩夢。まだライバルであるショーン・ホワイトとスコッティ・ジェームズにも一本ずつチャンスが残っているために自分の点数を更新し、優勝への基盤をしっかりと固めなければならない最後のチャンスだったのだが。。。
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そしてショーン・ホワイトがラストチャンス。 信じがたいルーテーンのランを完成させ、97.75という点数を記録、95.25を記録していた歩夢を追い抜いた。 歴史上初の3回目のスノーボード・ハーフパイプ種目での金メダル獲得。この瞬間、ショーン・ホワイトも感極まり膝まづいている場面が大会の電光板を通じて場内に伝達された。
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結果を潔く承服するように、歩夢もショーンの優勝を祝い、互いの健闘を讃え合う雰囲気。オリンピックの戦いの特別意味を感じさせる瞬間だった。
DSC08019メディアの取材中、観客席の米国人たちがショーン・ホワイトに向かって“U.S.A!”を叫び、これに歓呼するようにショーン・ホワイトが駆けつけて観客たちと共に勝利の喜びを分かち合った。
DSC07823あと一歩で大きな壁を乗り越え、このオリンピックで日本選手団の最初の金メダル獲得を成し得るところだった歩夢。戦いの後の表情は力を出し切った清々しさをも感じられた。
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大韓民国スノーボード国家代表チームのキム・スチョルコーチ。韓国のチームも、今回のオリンピックでは必ず決勝戦に進出すると意気込んでいたのだが、多くの物足りなさが残った。

韓国では、もちろんこれまでに経験したことないスケールのイベントだったために、多くのものが不慣れで、整わず、不便に感じられたことがあったのも事実。 しかし、世界最大祭典とも言えるオリンピックが2度も韓国で行われたこと。そしてこの熱い現場の熱気を間近で感じることができたのは、一人のスノーボーダーとして意味深い瞬間だった。

The REEAL MAG
이 원택(1Tech Lee)