ニュージーランドで魅了されたスノーフィールドカルチャー【その2】

スクリーンショット 2018-09-17 0.24.44日本では100%有り得ない山や雪、人々が築き上げてきたスノーカルチャーの存在。それは、旅を嗜む僕らスノートラベラーにとっては一度は見て感じたい場所だ。僕のスノーボードスタイルの根元にあるものは様々な場所を滑り学ぶ事にある。ニュージーランドに存在するクラブフィールドには自然がありのままに残されたフィールドと、そこで継承されるコミュニティ、それらが僕のニュージーランド熱を再発させた。旅の記録をここに記す事でその魅力を伝え、誰かの旅立ちを後押し出来ればと思う。
前編の ”その1” では、クラブフィールドにある魅力を紹介したが、今回はクラブフィールドに初めて訪れた物たちの声を届けたいと思う。プロライダー、手作り帽子屋さん、OLスノーボーダー、僕が案内した人々の声を紡ぐ事で、その景色はより鮮明になるのではないだろうか。
text: 藤田一茂

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『歩いた分だけ」その場所でしか経験出来ない事

今回の旅で1ヶ月間を共にした田中 陽。結婚後は自宅を愛知に移した彼だが、冬の期間は地元もある兵庫県のハチ高原スキー場でのパークプロデュースを軸にしながら各地に滑りに出向くデュアルライフを送る。夏は愛知や岐阜をベースに横ノリライフを満喫し、今では東海エリアの若手のお兄さん的な存在とも言えるのではないだろうか。噂ではSNOVA羽島には週4回、伊良湖に波を求め週2回、スケートパークにも週2回と、完全に横乗り注意報発令中だが、見ている者を元気付ける滑りを持つ彼を慕う者は多い。僕の長い友人でもあり、世話の焼ける兄貴でもある。これまでは僕が「登って滑ろう」と誘っても耳を貸さなかった彼だが、年齢や環境と共に心境も変化してきたようだった。コンテスト時代のライバルでもあった彼に、僕の好きな場所を案内するというのは必然だったのかもしれない。そんな彼の言葉でこの旅を振り返ってもらう。

「ゲレンデに行くまでの道中がヤバすぎで、まずそこにビックリしていました。道は舗装されてないしパンクしそうなくらいの石というか岩だらけ。車1台分しか通れない道で擦れ違えないし、『道、間違ってないっすか?』って感じでしたね。そんな先にある場所なんで、もちろんゲレンデもワイルドで、案内看板も無ければ、危険な場所を知らせるロープもほとんど無い。優しいコースも勿論ほとんど無いし、圧雪もされないから雪が降らないとガリガリのボコボコ。隠れている石も沢山あって、ソールには毎日傷が増えていく。板がボロボロになるよって聞いてたけど、初日で『なるほど』ってなりましたね。でも、地形そのままのコースはめちゃくちゃ刺激的で、日本には無いニュージーランドのワイルドな遊び方にハマりました。英語はほとんど解らないけど、ローカルやたまたま出会った人が『飲むか?』ってビールを渡してきたり、笑顔で滑っている人達と同じ時間を過ごしていると、みんなのウェルカム感とかフィールド愛も感じれて、ニュージーランドが大好きになりましたね。
 ナッツクラッカーは映像を見たりして、良いイメージで挑んだんですけど、最初は見事にやられました(笑)。滑車に指を挟みそうで怖いし、ナッツクラッカーを抑える握力も無くなるし、足元もツルツルで転げそうになるし必死でした。スノーボードだとロープが胸側にある場合と背中側にある場合があるんですけど、背中側は特に注意が必要でした。途中からはコツも掴んでナッツクラッカーも楽しめるようなったんですけど、最初の頃はピークに着いて滑る頃にはヘトヘトになっちゃってました。
 今回の旅は自分にとっては決して楽しいだけじゃなくて、しんどい事も多かったです。ゲレンデに行くまでにハイクして、また滑るまでにハイクして、滑ったらまたハイク。普段はあまり歩いて登って滑るって事をしないので、『ハイクしんど~』ってなってました。でも、登った人にしか見えない景色や空気、雪の感覚、仲間との会話やみんなで滑った後の一体感とか、その場所でしか経験出来ないスノーボードの魅力に気が付けました。パークの大好きな自分がこういうスノーボードを好きになるなんて思ってもみなかったですね。今でもパークは大好きなんですけど、もっと色んな山に行って滑りたいって思うようにもなりました。『歩いた分だけ』って、 最初は自分を元気付ける為に言い聞かせていた言葉も、今では好きな言葉になりました。写真や映像では伝わらない、行ってみないと分からない素晴らしさ。全てが新鮮で、ただ単に滑るだけじゃない魅力を知れました」
田中 陽
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夢を現実にするお手伝い

実はこの夏、僕はクラブフィールドツアーならぬ物を開催していた。その非現実的な体験を伝える為には、やはり実際にその場所に案内する事が最良と考えたからだ。短期間の決められた日程の中で、その日その場所のベストな経験を提供する。夢のような体験を提供する為に、ローカルの友人とタッグを組んでゲストを招いた。普段はOLのお仕事をされている30代女性のWさん。彼女にも、今回のニュージーランドについて話を伺った。

「私のクラブフィールド体験は雪のない森の中のハイクから始まりました。『人が運営しているフィールドがこの先にあるのかな?』。そう行った雰囲気の森を歩くとチケット売り場が現れ、更に階段を登って行くと白くて広いフィールドの中にポツンとあるロープトゥ。『私、これ出来るのかな?』と言う感じで、その時から完全に周りを見る余裕は無くなりました。ナッツクラッカーの洗礼は覚悟していたんですけど、やっぱり私にとっては手強くて。でも諦めずにやったお陰で4日目くらいには1人で乗れるようにもなったり。苦労はしたけど、またやりたいって心の何処かで思っています。転げたりして身体にアザが出来たりもしたけど、これも良い思い出かな(笑)。辿り着いたからこそ見える風景や人達がそこにはあって、それを体験出来たって充実感は大きかったですね。
 “滑り好きさんによる、滑り好きさんの為のフィールド” にはフレンドリーで優しい人達が多くてロッジの雰囲気も過ごしやすく、初めて来たけど緊張感はありませんでした。使った食器は自分で洗って片付けたり、利用者みんなで運営している感じも新鮮でしたね。日本のスキー場にはまずない運営方法や雰囲気がそこにはあって、こうゆう場所が日本にあっても面白いんじゃないかなと思いました。
 滑るフィールドは木が1本も無い岩山で、雪もあまり降らなかったので雪面は固め。案内されるがままにハイクアップしたりしながら、ナッツクラッカーと戦いながら、とにかく目の前に現れるフィールドを滑っていました。日本に帰って改めて映像や写真を見ると『本当にこんなところを滑っていたの?!』と、自分でも嘘みたいに思っちゃうようなスケールと山々。別世界に行っていたんだなって。もし次行けるチャンスがあるなら、もっと余裕を持って滑りたいので、第一に体力を付けようと思っています。『もし岩があったら、飛ぶか、止まるかしてください』。滑る時に言われたこの言葉は忘れられません。ニュージーランドらしい言葉だったと思います(笑)。
 スノーボーディング旅に出る事で、また違ったスノーボードの発見がありました。今後も、生涯を通じてスノーボードを楽しめるような生活を送りたい。お休みの遊びの1つとして、これからも色々なスノーボードに挑戦出来ればと思っています。新しい発見があるとスノーボードがもっと楽しくなりますね」

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若者の二人の気まま旅

ハーフパイプでオリンピックに出場していた平岡 卓、そして同じくハーフパイプでUS OPENなどにも出場していた今井郁海。「普通に滑りに来ました」という感じで同じエリアに滞在していた彼らとタイミングが合い、1日だけ一緒に滑る事になった。正直、二人の事はあまり知らないが「仲の良いゆうやっち(赤田佑弥)の友達やし滑ってみるか」というのと、「ハーフパイプの無いこのエリアに何しに来たんだ?」という疑問があったのだ。ライダー達の普通の流れでいくと、10代から20代前半のノッているライダー世代は、ワナカに行ってパークにパイプ、それにパーティをするのが当たり前だからだ。彼らの心境の変化についてはいつか聞くとして、「来年もここかな~」と言っていたのは確かだ。ここでは、彼ら二人にニュージーランドの魅力について聞いてみた。まずは卓からどうぞ。(※ちなみに次号のFREERUN10月27発売号で、卓の心境の変化についてインタビューが出るらしいですよ)。

「山全体がめっちゃフリースタイルやなって思いましたね。歩けば歩くほど雪や地形の良い所を滑れるし、普通のゲレンデと違って圧雪もされてないから、ホンマに自然の山で遊ぶって感じ。だからコンデイションも雪次第ですね。今までコンテストが多かったけど、今回は『めっちゃ山で遊んでるなー』って感じで、『スノーボードってこれやなー』って。もちろんパイプも他も全部スノーボードなんすけど。それに何よりビックリしたのはゲレンデまでの道のりの険しさっすね。道までフリースタイルやなって。とりあえず、行ってみなきゃ分からない魅力がありました」
平岡卓
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「僕は実際に初めて来たのは去年だったんですけど(昨年の彼の初NZムービーはこちら)、今までの日本やコロラドで自分が感じてたスキー場の概念が全く通用しない世界でした。スキー場への道のりも含めて全てが自然で一杯で、自分のスノーボード人生で想像した事のない場所でしたね。フィールドの人たちはとても親切で、自然やスノーボード、スキーを心から好きなんだろうな伝わって来ました。フィールドの中にはウィンドリップや自然のままの地形が沢山あって、自分たちのアイデアで滑ると言うか、フリーランをもっと上手くなりたいと強く思いました。どこを滑るかイメージして、どうやってラインを繋げながら当てて行くか。フリーランがもっと自由自在に出来れば、遊び方も増えるだろうなって感じましたね。雪質が難しかったり、雪の薄い所や氷の箇所は凄い神経を使って滑ったり、難しい中にフリーライディングの面白さを感じれると思います。ニュージーランド自体が本当に自然が綺麗な所が多いんですけど、クラブフィールドはその自然の魅力を目一杯感じられる場所。僕はチーズマンとオリンパスという山が好きで、攻めたりハイスピードで滑りたいときはオリンパス、まったり行きたいときはチーズマンと、いろいろなフィールドがあるので、その日の気分や雪に寄って選べのる事も遊び方のポイントだと思います」
今井郁海
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ある日の雑談での出来事

「え~私もニュージー行こうかな~ 行きたいな~」「来たら良いやん~」そう言ったものの僕は完全に来ないと思っていた。だが翌日には「ニュージー行きます!よろしくお願いします!」とのメッセージ。「コイツなんか違うな」。男二人旅の予定で借りた家のベットは2台、自ずと僕は床で寝る事になった。「新しい世界を見たい。新しい挑戦をしたい」。そうゆう気持ちで刺激を求めて滑っているライダーは意外と少ない。新しい世界にある魅力を知ってか知らずか、彼女が開けた扉の先に何が見えたのだろうか。次の冬にそんな佐藤亜耶の滑りを見るのが楽しみだ。

「ニュージーランドに行く前に色々と調べて、なんとなく ”すごい所” っていうのは想像していたんですけど、実際は想像とは全く違う場所でした。普通のスキー場っていうと、山があって、そこをスキー場にする為に整地したり色々と人が手を加えると思うんですけど、クラブフィールドは山があって、そこにロープトゥが架かっているだけ。行く前は普通のスキー場っぽさもあるのかなって思っていたけど、私の知っているスキー場っぽさは全く感じられなくて、ここをスキー場と呼ぶのはちょっと違うかなって思いました。
 普段滑っている時って、フィールドを作った人とか、この場所の為に努力してくれている人達のことなんて考えないと思うんですけど、クラブフィールドは普通に滑っているだけでフィールドのバックグランドが感じられる。この人達のお陰で私達は滑れているんだなって。それに、『どこから来たの?』って聞かれて『JAPANだよ!』って言うと、みんな『良いねー!雪良いよね~!』ってポジティブな反応をしてくれていました。でも、そこでみんな口を揃えて言うのは、『日本も良いけど、ここも最高だろ!』っていう言葉。みんな自分達のホームを愛しているのが伝わってきましたね。ナッツクラッカーを教えてくれたおじさんや、ハットで休憩している時に色々な人の暖かさに触れて、”フィールドを作る、守る” ってこうゆう事なんだなって感じました。
 ナッツクラッカーのロープの速さは、最初は信じ難いくらいで本当にビビっていました。『これ毎回とか、マジか~』って、正直萎えかけてたけど、何事もやってコツを掴めばある程度上手く行くみたいで、自己流のやり方とかやり易い方法を見つけ出したりして楽しめるようにもなりましたね。3週間目くらいかな?調子乗って余裕ぶってたら恥かしいやられ方しちゃったりしてましたけど(笑)。
 今まで、『歩いて登って滑ったりするのは自分には向いてないな~』って決めつけてました。実際しんどい事はあまり好きじゃないし、ハーフパイプの大会に出てた頃も、みんな歩いてるのに私はしれーっとリフト回ししていたり。でも今回の旅で沢山歩いて、自分の足で行ける所にこんな素敵な場所があるんだって分かってからは、『もっと沢山の景色を見てみたい』って、色んな場所に興味が湧いてきました。スノーボードで色んな所に行って、素敵な場所を滑る事以上に気持ちいい事って他にないかもしれないって本気で思えた旅になりました」
佐藤亜耶
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手編み帽子屋さん。ニュージーランド視察へ

僕のスポンサーであるLADEは、ハンドメイド且つ頭の大きさや色、柄や形、ユーザーの好みに合わせてカスタムオーダーで作られる国産ビーニーブランドだ。そんなLADEのボスである会田喜文は僕の話すクラブフィールドに興味を持った。日本にはほとんど見られない運営形態やフィールドにあるコミュニティ、僕の話だけでは足らないと、”視察” という名目でその地を訪れた。彼の住む東北のフィールドとニュージーランドのクラブフィールドカルチャー。そこにはどうやら通じる所があるらしい。そんな学びの他にも滑りへの探究心も忘れない帽子屋さん。滑る人の為にビーニーを編み、自らが滑る為にビーニーを編む。滑る事を捨てたらただの帽子屋さんだ。と、僕は思う。

「LADEのライダーでもある藤田一茂が主催していたニュージーランドツアー。クラブフィールドというカルチャーを学ぶ事で色々と今後の為になるかなと思い、勇気を出して初めてのニュージーランドトリップに行ってみる事にしました。まず滑る環境においては “ワイルド” という一言に尽きるかと思います。フィールドに着くまでに歩く距離や容赦のないナッツクラッカー、クラブ員で運営されるフィールドにはリゾートやお客様という考え方も存在しないので、自分が甘える先が無いという意味でもワイルドだなと感じました。リゾートではなくコミュニティですね。そもそも、甘えても、ふてくされても、文句たれても何も起きないのでそんな気にならないし、自分でやり遂げるしかない。その分やり遂げた時の感動は段違いだけど、それまでの自分の打ちのめされっぷりったらなくて、自分の弱さもしみじみ食らっていました。
 雪の降らない街から彼方に見えるイカツイ山に向かって車で行けるだけ行って、そこから登って滑るんですが、わざわざこんな山奥まで足を運んで、ここを好き好んで滑っている人達が多いことに驚きました。ニュージーランドの人口の比率でも、こういった自然で遊ぶ人達は凄く高いようで、それがこのクラブフィールドが成り立っている理由なのかなと。雪質や雪の量で言うと全然日本の方が良いのですが、アクセスの悪いこんな所にまで道を作り、ワイルドなバックカントリーに容易くアクセスが出来るようになっている。開拓した人達の探究心は本当に凄いと思います。
 山が山なのでギアのチョイスも自ずと変わるなと感じました。今回は長めの少し柔らかめのボードだったので、来年はエッジのしっかりとある短めで硬めのボードにしようかなと。とはいえ、ギアの性能に頼るんでは無く本当に自分の力量次第だとも思いました。スキルがあればあるだけ楽しめる。ついつい日本の柔らかくて気持ち良い所を滑りがちだけど、ガッタガタの硬いところもしっかりと踏んでスピードを出してガンガン行けるようにしないと。来年は『もっと強い自分で楽しんでやるぞ』って思いました。
 若い人は特に、何か物足りなさを感じていたらこういう場所に行ってみると良いと思います。毎日が刺激的で、希望やアイデア、新たな気持ちが芽生えると思いますよ」
会田喜文
LADE SNOW founder / LADE clothing community STORE and gallery owner

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可能な限り

滑るとはなんだろうか。きっとそれは人々が呼吸し、ご飯を食べ、生命を維持するようなもの。人と人が繋がり支え合うように、心の力に繋がる大きな存在。雪山というフィールドが生み出したコミュニティ。人々が繋がり紡がれ続けるフィールド。滑るという事で人々は自ずと幸せを作り出し、支え合っているのではないだろうか。僕は可能な限り、新しい世界を求めて足を運びたい。そこで人と繋がり、自然と繋がる事に幸せを感じているからだ。人々が旅に出る事に、理由は要らないはずだ。

DSC04211藤田一茂(forestlog)
旅を好むスノーボーダー。様々な場所を訪れスノーボードと旅の魅力を体現している。 Forestogを主謀し映像制作やデザイン、物書きなども行う。趣味は写真と家庭菜園。日々の暮らしはInstagram(@forestlogd)にて配信中。
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