藤沼到インタビュー

藤沼到。驚く程純粋で熱血。スノーボードとスケートボードにのめり込むライフスタイルを貫き続けているライダー。そしてユーモアに溢れ、イベントを盛り上げるには必要不可欠な人材。
プロスノーボーダーとしての立場からスノーボード業界を引っ張り続ける彼の想いを聞くことができた、藤沼到のインタビューをお送します

1)到くんがスノーボードを始めたのはいつですか?そしてプロになるまでどのような動きをしていましたか?

はじめてスノーボードに乗ったのは17歳の時だったと思います。雪があまり降らない栃木県宇都宮市に住んでいたのでスキー場へ頻繁に行けるようになるのはもっともっと後になりますが。
20歳の時に新潟県妙高市(当時は妙高村だったな)に移り住み、関温泉スキー場や赤倉観光スキー場、ARAI MOUNTAINなんかでパウダーに埋もれはじめて(笑)、春の関温泉、ARAI、妙高パインバレーでハーフパイプを滑り、21歳の時からJSBAのハーフパイプ大会に出場しはじめて、23歳のシーズンの成績でPSAのプロ資格を取得しました。
はじめて企業とプロ契約を交わしたのは24歳の時だったと思います。今年35歳になるのでもう10年以上も前の出来事になるんだなー。

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2)持ち技のリアルマックツイスト等を見る限りかなり到君のスタイルがスケートボードから影響を受けていると思いますが

スケートでマックなんてできませんよ(汗)けれど,子供の頃からスケートボードのビデオをみるのがとても好きだったので、マックツイストやインバートトリックは憧れでした。
スノーボードをする知人はみんなテリエハーコンセンに憧れていて、自分もテリエ、ダニエル、インゲマーに憧れましたが、スノーボードの知識が頭に入って来たのがけっこう後で、実際はダニーウェイやトニーホークみたいに有名なスケーターに憧れて、いつかあんな風にマックツイストしてみたいなーって思ってました(笑)
ジョンカーディエルやアランピーターセン、ウェイドスパイヤーみたいな、でかいスタイルのスケーターに憧れていたので、はじめてスノーボードを履いた時にバインディングで足を固定されたスノーボードではグラブトリックでスタイルを出しやすいって感じて、自分の好きなスタイルでトリックを決めたいって自然と思いました。あ、ランスやキャブ、ゴンズのインバートも憧れだったかな。あ、もちろんマイクマッギルもかっこいいと思ってましたよ、マックの話がでていたので!!
自分が住んでいた辺りにパークは無くてずっとフラットで滑っていたので、逆にビデオで見かけるような上に書いたスケーターに憧れたのかもしれませんね。周りの友達はVANSサルマンアガーのプロモデルを履いていて、俺はAIRWALKのNTS(not the sameだったかな?)ってスケシューを履いていた時代です。懐かしいな~!

Itaru Fujinuma

3)今シーズンは原点回帰、というテーマで過ごしていたそうですがどのような活動をしていましたか?

プロ活動をはじめて10年が過ぎて、その当時一緒に大会に出ていた選手はほとんどコンペを離れていて、ほとんど違うフィールドに活動の場所を移していたりしています。
けどこれまで続けてきたことを完全にやめることは自分の性格的に嫌だったり、自分が憧れたスノーボーダー達の背中を追い続けてここまできたけど、これまでの自分と違う自分も見つけたくて、スノーボードを真剣にはじめた二十歳の頃を思い出して、何をやっても新鮮だったあの頃のように、自分がトライしてこなかった事や場所にも挑戦していきたいって考えから

今シーズンのテーマは原点回帰

って口にするようになりました。

夏はいろんな場所でスケートして、冬の事をシーズン前に打ち合わせして
実際にシーズンインすればプロツアーを転戦して、母校である全日本ウィンタースポーツ専門学校の生徒へ指導しながら、時間の許す限りINDRES FORMATIONのクルーと撮影しました。

4)今シーズンからのINDRES FORMATIONとの撮影撮影は順調でしたか?

シーズン頭の妙高白馬エリア、イベント参加で訪れた北海道、ゲレンデのシーズン終了となった時期の各地の残雪の山々までと、これまでで一番長い時間自分のライディングをカメラで追ってもらうシーズンになったと思います。まだまだもっともっとだと思いますが…!

妙高に長く住んでいるので、これまでもスノーシューを履いて雪深い山奥へ入ることはありましたが、これまで宝の持ち腐れだったアイゼンやピッケルを持ち出して山へ上がることは純粋に楽しくて、そこで出会う壮大な景色に心を激しく高ぶらされたり、一本のランを大切にしようと頭をフル回転させたり、これまでにない経験が楽しくて本当に監督やフィルマー、フォトグラファー、共にライディングした仲間達に感謝しています。

INDRES

5)到君のハーフパイプでのライディングスタイルを出す為に、どのような板やBindingが好みでしょうか?

head snowboardsにサポートしてもらってますが、俺は反応の早い板やビンディングが好きです。自分の意思を瞬時にアクションへと変換してくれるギア。
ゆっくり滑るには柔らかめでルーズな感覚が好まれるのかもしれないけど、硬くてハリがあって突っ込めば大きく飛べる!みたいな単純明快な昔ながらのギアが好きです(笑)

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回して擦って回してアウトーみたいなテクニカルな人も好きですが、速くてでかいスタイルのスケーターが大好きだったので。国内だったら長島亘さんや丸山晋太郎君みたいな。
あ!もちろん上田豪さんも好きですよ!!昔からお世話になってます、ありがとうございます。豪さんやコーセーをはじめ13mindクルーのファンです(笑)

オーリー

6)なんでいきなりその年で赤髪にしたんですか?

え?原点回帰ですよ、これも一種の(笑)
似合いません?俺、昔から被り物とか似合うから、派手な頭とか似合うと思うけどなー。
みんなリッピーとかみてスノーボーダーっぽいなって思いませんでした?

Itaru Fujinuma

7)到君が目指すスノーボーディングライフスタイルはどのような形でしょうか?

今は…滑ることをやめたら、スノーボーディングライフが終わる時なのかなー?って思たりしてます。まぁ、こういった思想は自分の成長や、その時その時の感覚や価値観で変わる事かもしれませんが。

一年中スケートしてた子供の頃と違って、冬にスケートから離れる時間が長くあっても、マインドは自分がスケーターだと思ってますから。俺みたいに出来ない技ばっかりのへたっぴスケーターでも(笑)。

本当に好きなことがあったら好きな事が最優先の人種になってしまうでしょ?そういうもので…だからそういった考え方からすると俺のマインドはもう、一生スノーボーダーであることに違いないと思います。

Itaru Fujinuma

8)最後に一言

んー…なんだろ?
アメリカでもニュージーでも何度も海外で気絶したなー、とか。
SBNのカズさんにNZで仕事を紹介してもらってカードローナで一緒に働いたなー、とか。
カズさんの結婚式で余興やらされるってことでカナダで毎朝ダンスの練習してから山にあがったなーとか?(笑
いろんな思いが頭の中を駆け回りますが・・・
そうだ、伝えたい事ありました。
今って…間違った事や物事でも伝えられ方によっては、それが本物になり得る怖い世の中ですよね。
わからない事をスマートフォンでググれば問題は一発でなんでも解決してしまうー!けど、それって本当に本当の事?みたいな。
TVやPCに映像や活字となって目に入ってくる物には、疑いの気持ちを持たずに読んでしまう、見てしまう人が多いのではないですか?しかし実は間違った事もたくさんありますよね。
俺は専門誌でトリック名を間違えて伝えている記事を見かけた時に…それは絶対ダメだと思いました。
それをみた人にとっては、全国で売られている本に書いてあるんだから嘘は無いだろう、と言って嘘の情報がその人の中では本当の情報に変換されて、もしかすると一生その「間違った本当」を記憶して、時にはその事を他の人に伝えてしまうかもしれません。
物事を伝える立場にいる人は、伝える事に責任があると思います。
自分はスノーボードをしていたからこそ体験出来た事がたくさんあります。大会でお金をもらったり、テレビで番組をやらせてもらったり、元ヤンって言われるくせに先生になれたり、本を書かせてもらったり、海外で仕事させてもらったり、空港やテレビの中で自分が滑っている所をみかけたり…そういった非日常的な経験を多く体験したからこそ、若い世代の人に伝えられる事があると思います。
そんな自分が間違った事を伝えたり、間違った行動をみせたらいけないんだろうなって、最近になって想うようになりました。
気をつけて生きていこうかな…なんか良い子ぶった発言で締めようとしてますねw良い子でもないんですがw
でもいつか自分のような気持ちを持った人間を育てる環境を、自分が横ノリをはじめた頃ぐらいの若い子達に、滑りの事や、ギアの事、俺が見てきた世界の事を伝えられる場所が作れたらいいなって思ってます。
その辺に平気でゴミを捨てるヤツや、周囲の事を考えずにタバコ吸うヤツとか、リフト乗車待ちの列に並べないで板をガンガン当てながらスネークして行くヤツとか、人を嫌な気持ちにするようなヤツにはなるなよって伝えたいです。
自分の周りに無かったもの、あったら良かったなって今だから思いつくもの、今の自分だから伝えられる事、そういった物を伝えられる場所を作りたいですね。
誰かがトリックをメイクした時に、でかい声で笑いあえて、自然とイェーーーーーーーーーー!!って叫ぶ事を憶えたスケートスポットみたいに、気の合う仲間が集まれるような場所をね。

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プロフィール

名前:藤沼 到(ふじぬま いたる)
生年月日:1979年11月27日
出身地:栃木県宇都宮市
好きな事:笑える事
嫌いな事:痛い事

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Interview and Edit by
Credit_Kazu

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