TWELVE SNOWBOARDS 20年の歴史あるブランドの現在地

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Photo: Yoshi Josef Toomuch

1990年代後半、海外トップスター等に釘付けだった日本のスノーボーダー達にストップをかけたのがドメスティックブランドの出現だった。その中でも1997年、12名のハードコアメンバーが集まり、フリーライディング・フリースタイル・エクストリームに至るまで、雪山全ての遊びをターゲットに、純粋にスノーボーディングを理解するプロショップ等とともに歩んできたのがTWELVE SNOWBOARDSだ。TWELVEは今シーズン、20年の節目を迎えることになる。長い年月とともに日本のスノーボードシーンやこのブランド自体も様々な変化を遂げてきた。そして現在、全国各地・各分野のスペシャリストで構成される7人のライダー達が、ブランド創成期のリアルスノーボーダーズ・スピリッツを継承し、現在のシーンの中で新たなブランドコンセプトを再構築・発信している。

ブランドの変化

TWELVEはブランド発足当時から滑りに人生を見出した個性溢れるライダーが集い、いわゆるユーザーを配慮したビジネスベース的な物造りではなく、自分達が追求し続けるスノーボードを生産し発信を続けてきた。それがこのブランドが20年続いている大きな理由だ。そして、その拘りは雪山だけにとどまらず、ストリート・ミュージック・アートなどのあらゆるシーンを巻き込むミックス・カルチャーとして様々なシーンへ影響を与え続けてきた。スノーボーディングという至上の遊び、楽しさを伝え続けるメンバーがアクションを起こせばそれに賛同する者たちが増え、ムーブメントを生み出し、不動の地位を確立していく。
発足から11年が経ち、TWELVEの1シリーズだったモデル「T.J」が2008年に分派しT.J Brandとして独立した。今までのスキー的な大量生産を行う工場での物造りという部分では限界を感じ、それを超越した新たなステージとして生まれたオリジナルシェイプの数々。それを実際カタチにできるファクトリーとも繋がった。滑りの表現よりもシェイプから生まれる可能性に興味の比重があるメンバーたちはTWELVEからT.Jへと徐々に移行し、それに魅了された初期のTWELVEファンやユーザー達も現在のフリーライドブームも重なり自然とT.Jを選ぶ流れとなっていった。

 

新たなTWELVEブランドの再構築

インターネットの普及により、現在ではSNSから発信される情報や映像もユーザーの着目する情報源となっている。情報源はメディア、ブランド、ライダーだけではなく誰もが発信者となることができ、その膨大なアップデートの循環の中で、明確にブランドの情報を伝えることが困難となり、信ぴょう性のない情報さえも大きく注目されてしまう時代となった。
こうした時代の流れの中で、現在のTWELVEライダーはブランド当初のスピリットを受け継ぎながら、今の時代に寄り添った形でブランドの新たなコンセプトを試行錯誤してきた。個々に自分等のホームマウンテンで活動し情報発信する一方で、ライダー達の情報がユーザーへ届きにくくなっていることも感じていた。個の力というミニマムな発信に限界を感じる中で、彼らは幾度となくライダー同士の意見交換を続けひとつの答えを導き出していった。それは「ユーザーとの現場でのコミュニケーションの大切さ」に行き着き、基本に立ち返った瞬間でもある。同じ空間を共有することによって、ユーザーの考えをより知ることができる。ユーザーが求めていることを深く知ることで、自分達ライダーもどういった動きをしなければならないかの大きなヒントをもらえるはずだと。自分たちの目指すべきものを再確認するために昨シーズンTWELVEチームセッションを行い全ライダー達が集結した。

 

TWELVEチームセッションin白馬

場所は白馬。巨大なセクションやハードなバックカントリーを滑るわけではなく和やかな雰囲気の中でチームのコミュニケーションを重要視したセッション。各地で活動するライダーが山に集まり、スノーボーディングを通じ共に時間を共有する中で、お互いの成長と滑りを感じあうことができる貴重な数日間を過ごすことになった。そう、それは先人達が当たり前のようにやってきたチーム・一体感の再構築でもあったのだ。そして今回のもうひとつの目的は「ユーザーと雪山でのコミュニケーション」。滞在期間の最終日にはユーザー達と空間を共有するライディングセッションを行い、アフターパーティーを開催。参加者は約30名。これくらいの人数だからこそ個別に濃い時間を共有でき、繋がったユーザーへTWELVEブランドをしっかり伝える機会としてライダー達はみな手ごたえを感じることができたのだ。

ファンセッションの始まる前に各ライダーから一言
ファンセッションの始まる前に各ライダーから一言

 

FUTURE

どんなにインターネット上に情報が溢れても、自分が実際に見たものを信じることや面と向かって出会う素晴らしさを感じることの大切さは、今も昔も変わらない。現在日本のスノーボードシーンではジャンルに特化したライダー達が多い中、TWELVEは各ライダーが「オールラウンド」に滑れる事を重要視し、様々なジャンルのスノーボーディングの楽しさや遊び方をブランドとして伝えていくことを再認識できた。そしてこれからもライダー個々が滑り手として経験と実力をつけて、より多くの人に魅せらる写真や映像を残していく。それを念頭に雪山というフィールドでユーザー達とのコミュニケーションの場を増やしていくという自分達ライダーの新たな価値観を見出した。
20年の節目を迎えたTWELVEは、今を生きるジェネレーション達が新たなブランドコンセプトを見つけ出し再出発している。

ファンセッション参加のみんなと集合写真
ファンセッション参加のユーザーと集合写真
力を高めながら黙々と滑る準備をする加治秀之
力を高めながら黙々と滑る準備をする加治秀之
滑って来た加治秀之チームを1枚
滑って来た加治秀之チームを1枚
ライダー達はユーザーと同じ時間を共有しセッションすることでフリーライディングの楽しさや魅力を伝える
ライダー達はユーザーと同じ時間を共有しセッションすることでフリーライディングの楽しさや魅力を伝える
ファンセッション中にパークでファンと一緒に楽しむマサイ
ファンセッション中にパークでファンと一緒に楽しむマサイ
同じくパークでファンと楽しむ物井 司
同じくパークでファンと楽しむ物井 司
この日誰よりもファンと楽しんでいた山本拓実
この日誰よりもファンと楽しんでいた山本拓実
フォトセッションにてstart前のマサイ
フォトセッションにてstart前のマサイ
撮影での1コマ北島 光のFS360インディー
撮影での1コマ北島 光のFS360インディー
同じく撮影中での畠山絵美のミュートグラブ
同じく撮影中での畠山絵美のミュートグラブ
アフターパーティーは栂池の鉄板焼き喜楽にて参加者と夕食
アフターパーティーは栂池の鉄板焼き喜楽にて参加者と夕食
夕食を食べた後は栂池M‘s Barでアフターパーティー。今回TWELVEシューティングを企画主催した物井 司と、DJで駆けつけてくれたカトケンことKenji Kato
夕食を食べた後は栂池 M‘s Barでアフターパーティー。今回TWELVEシューティングを企画主催した物井 司(右)と、DJで駆けつけてくれたカトケンことKenji Kato(左)。この夜のパーティには昼間の参加者はもちろん、約60名程の人数が集まり盛り上がった

TWELVEチームセッションin白馬MOVIE

TWELVE TEAM RIDER
中尾 “マサイ” 正明、加治秀之、山本拓実、北島 光、物井 司、新海泰弘、畠山絵美

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