Tim Kevin Ravnjak スペシャルインタビュー

Tim Kevin Ravnjak。若干17歳の若手ライダーで、彼独特のスムースなスタイルでソチオリンピックでは8位入賞を果たしたライダーだ。ソチオリンピック後の世界ジュニア選手権ハーフパイプでは見事優勝を果たし、その活躍はパイプにとどまらず、ビッグエアからスロープスタイルまで世界の舞台で戦えるスキルを持つ事も証明されている。
そして驚いた事が先日YONEXとTim Kevin Ravnjak(以下TK)がギア使用契約を締結したことだ。

SBNでは以前より是非彼の内面を知りたく、インタビューを行ないたいと思い続けていたが、やっとそのチャンスが訪れた。今回はTim Kevin Ravnjakのインタビューをお送りします。

Q:それでは質問には気楽に答えて下さい。まずスノーボードを始めたキッカケは何ですか?

A:そうだね、確か4歳の頃だったと思うけど、お父さんがスケートボードを買ってくれたんだ。・・・今から13年前になるかな? それで冬になって、トラックをそのスケートボードから外して、スロープ(斜面)を滑り始めたんだよ。木でできたスノーボードさ。それを見たお父さんが「スノーボードを始めたいんだろうな。」って思ってくれたみたいで、2年半ぐらい後に短いスノーボードを買ってくれたんだ。まだ覚えているよ。105センチのね!

それから毎年冬になると家族で出かけて、スノーボードをするようになった。それ以来スキーを履いた事は一度もないよ。それがスノーボードを始めたキッカケかな。

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Q:その頃はまだ週末だけの遊びだった?

A:そう、スノーボードを始めたらすぐに夢中になっちゃったんだ。それからは「滑りに行きたい!滑りに行きたい!」っていつも思っていたけど、簡単じゃなかったね。 両親は仕事をしていたし、地元の近くにスキーリゾートも無かったからね。週末まで待たないといけなかったんだ。

Q:TKはスロベニア出身なんだよね?スロベニアを知ってる日本人は少ないと思うから、スロベニアってどんな所か教えてくれる?

A:本当に小さい国だけど海、川、湖、大きい山まで全てあるよ。でも人口はたった200万人だし、イタリア、オーストリア、ハンガリー、そしてクロアチアに挟まれてる小さな国。パークはほとんどないんだ。国全体をみてもパークは2つしかないかな。しかも小さなジャンプとかだけなんだ。

Q:スキーヤーの方が多いのかな?

A:ほとんどの人がスキーをするね。だからスキー場はたくさんあるけど、パークに力を入れている所が少ないんだ。彼らはスノーボーディングにポテンシャルを感じていないみたいだからね。

Q:プロになろうって考え始めたのはいつ?

A:8歳の時に初めてのボーダークロスのキッズツアーの大会に出たんだ。国中から沢山キッズが出場してて、そこで優勝した時は本当に嬉しかった。

それから9歳になって初めての国際大会のバートン・アマチュアツアーに出て、その時も自分でもかなりうまく滑れたと思う。
でもスロープスタイルの大会なのに、たった9人のスノーボーダーしか出場してなかったんだ。9位、8位って名前が呼ばれていったんだけど、2位の選手が呼ばれるまで自分の名前がなかなか呼ばれなくて、「あれ?俺の名前は?忘れられちゃったのかな?」って思ったよ。
それで優勝はティム・ケヴィンって呼ばれた時は超嬉しかったね!その前はどこもスポンサーがついていなかったけど、それからメーカーも僕の事を知ってくれてギアのサポートをもらったり、トリップに行くのがラクになった。

最初はプロになるなんて考えもしなかったけど、大会に出れば出る程、自分はかなりいい成績を残していったし、それが自分を伸ばすモチベーションになったんだ。

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Q:両親は嬉しいだろうね?

A:そうだね、ハッピーみたいだよ!

Q:両親はどんな仕事をしてるの?

A:お父さんもお母さんもスロベニアで冷蔵庫やキッチンのパーツを扱ってる最も大きい会社の一つで働いているよ。お母さんはデザイン部門で、そしてお父さんは買い付け部門を担当してるんだ。

Q:オリンピックを目指しはじめたのはいつごろ?

A:目指そうと思ったのは確か15歳の時だったと思う。以前はオリンピックなんて考えもしなかったし、目指すアスリートは全く別の世界に居るって思ってた。

でもどんどんトリックも上達していたから自分が現実的な所に居ると理解していたので、「もしダメでも、また次に繋げればいい」というようにあまり自分にプレッシャーをかけないようにしつつ、フォーカスして挑戦してみようって思った。でも実はオリンピックの前の年に両手首を折っちゃって、腰の骨を手首に移植して、スクリューを入れる2回の手術を受けたんだ。
それから夏はとにかく頑張って、体のコンディションを戻しながらいい結果を残す事に集中して、復帰後のニュージーランドの大会では8位になり、それをキッカケに自信を取り戻すことができたね。

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Q:オリンピックに出れるってわかった時はどうだった?

A:あれは最高の瞬間だったよ!
出場権を取得するにはまず国際大会でトップ40に入らないといけないし、国内でもモチロン上位に入らないといけない。
オリンピック候補に選ばれるには2回はトップ8に入らなきゃいけないんだ。でもニュージーランド、そして3ヶ月後のフィンランドのルカでの入賞でオリンピックに行けるって確信してた。決まった時は本当にハッピーだった。仲間も喜んでくれたしね。

その後は自分のライディングを強化する為に、ワールドカップにも出場せずに1月のバートン・ヨーロピアンオープンだけは出場し、ソチオリンピックではいい結果を残せたよ。

Q:トップスノーボーダー達と戦ってみてどうだった?

A:だれも俺に期待してなかっただろうし、準決勝まで上がれればそれでいいって思ってたから全くプレッシャーを感じずに挑めたね。しっかりとトリックもランディングして、デカく、思いっきり魅せてやろうって思ってたからスロベニアチームの記者会見で「ドリーム・ゴールはファイナルに残る事だよ」って言ったんだ。その直後に、もしもファイナルに残らなきゃブーイングを受けるだろうって思ったから「ヤバイ!こんな事大声で言うんじゃなかった!」って気がついた。

でも実際その日はリラックスできてイイ感じだったんだ。オリンピックでのファースト・ランはちょっとミスしてしまったけど、9位だったからね。
準決勝に残るには次のランで上位8名にならないといけなかったから「やってやる!」って心に決めたんだ。
ハーフパイプは柔らかくなってきちゃってシェイプは最悪だった。でもそのコンディションは誰も同じだったし、他の有名選手でさえも悲鳴を上げる様なコースだったから、それを逆に利用してやろうって考えたんだ。だから俺はスタイルにフォーカスして、それが成功に導いて決勝に残る事が出来たんだ。

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Q:日本の選手はどうだった?

A: 歩夢とタクの事も知っていたし、彼らがヤバいってことも知ってたけど、青野令が表彰台に上がるって予想してたよ。青野令は残念だったけど、予選ではどの有名選手も惨敗だったからね。タフなコンディションだった事は確かだけど、彼らからいいインスピレーションを受けたよ。

Q:ベストなハーフパイプのルーティーンは?

A:実は特別なルーティーンというのは無いんだ。毎朝起きて自分の体のコンディションを感じ取り、スタイル重視のトリックがしたければそうするし、身体も心も調子が良ければ新しい事もトライする。トレーニングみたいな感じで540から1080にチャレンジする事もある。だから特別なルーティーンは無いけど、自分がどんなコンディションにあるか常に感じながらいつも決めているよ。

Q:いま練習してるトリックは?

A:フロントサイド・ダブルコーク1080。今年はコンテストでこのトリックを試してみたいね。もちろん実際の滑りで試せていない他のトリックもあるよ。

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Q:次の目標とかゴールはある?

A:今年は3つのワールドカップに出て、DEW TOURとTTRコンテストも出場したいね。去年はワールドカップに一番フォーカスしていて出場できなかったからね。あとは去年はコンペティションばかりだったから、撮影も少ししたいと思ってる。

Q:スノーボーディングを楽しむコツなんかはある?

A:いつも違うグラブだったりスピンだったり、もっとトゥウィークしてみようとか、常に新しい事にトライしていつもクリエイティブで居る事かな。オープンマインドで、パウダーターンを楽しんでもいいし、ジャンプもオッケー。仲間とも楽しめる事って最高だよね。個人的にスノーボーディングが好きな理由は、そうやって自分がクリエイティブになれるからなんだ。

Q:自分のスノーボードスキルをアップする方法は何?

A:ここ2年で周りのレベルもスゴく上がってきたよね。5年前はみんなただ楽しいから滑っていた感じだけど、最近はしっかりとトレーニングして、夏でも怪我をしないように筋力トレーニングをするようになったよね。
アスリートとして重要なのは夏のうちにトレーニングをして冬の準備をする事。自分も1年のうち4ヶ月は体力トレーニングとしてロードバイクやジムでのトレーニング、マイタイ、ボクシングに励むようにしてる。

Q:今シーズン日本にまた来る予定はある?

A:もちろんだよ!多分3月のイベントかな?それと練習のためにもまた来日したい。前回も今回も日本での練習では調子がいいと聞いて小布施Questに行ったんだ。いい場所だし小布施に滞在してお寺に行ったり観光もして楽しんだよ。

Q: なぜYONEXを選んだの?

A:実はここ5、6年ぐらい青野令といい友達なんだ。彼は僕の理想とするライダーだし、彼がYONEXのボードを使ってるのを見て「彼が使ってるんだからいい板に決まってる!」って思ったのがきっかけだね。
それから2、3年ぐらいずっと試したいって思ってた。でも日本とコンタクトするのが難しくて上手くいかなかったからヨネックスのドイツ支社に問い合わせたんだ。それからしばらくしてやっとテストできる事になったんだよ。

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Q:YONEXを試した時の感想は?

A;まず最初に板に足をのせただけでスゴくいい感じがしたんだ。
そしてテストした時にビックリした事は、ハードで凍ったハーフパイプで滑るとき、もしも俺の古い板だったらぜったい食らいつく事はできないのに、YONEXのボードは自分の進みたいラインにしっかりと食らいつく事ができたってこと!
YONEXのボードは固いバーンでカービングできることがすぐに分かったから、「コイツは最高だよ!」って自分のコーチにも伝えたよ。

Q:YONEXのどの板を選んだの?Rev?Style?

A:個人的にはRevが一番調子がいいね!どんな地形にも合うし、このフレックスと反発力にはとても満足しているよ!

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Q: YONEXのチームビデオに参加していたけど、YONEXチームとのセッションはどうだった?

A:初めてのチームトリップだったけど、ライダー全員で集まる事ができてとても楽しい1週間だったよ。クラルト、リョウ、アントワンも良く知ってるしね。イ・カンキもワールドカップでいっしょだから良く知ってたんだ。
7日間ずっと滑ってて滞在中の雰囲気も良かったし、すごくいいチームと会社だって実感したよ。朝一でパイプを流して、天気が悪ければ何か小さいアイテムやジャンプにトライしたり、最終日はフレッシュスノーも少し降ってみんなとセッションできて楽しかったね!

Q:日本のスノーボーダ-にメッセージはある?

A:日本のスノーボーダーは俺のいいお手本なんだ。スタイルも好きだし、今でも大きな影響を受けてるよ。お父さんにはいつも「日本人の彼らを見習うように」って教えられてた。日本人はハードにトレーニングしているし、楽しみ方も知ってる。最高だよ!You Guys Rock!

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2014-2015 YONEXデジタルカタログはこちらから

Transtaion by Kenji Kato

Interview by

Credit_Kazu(7)

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