SBN × 藤田一茂 : 立山 -TATEYAMA-

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前から立山に行きたいと思っていた。
今までタイミングが会わずに行けていなかった立山に行くチャンスがまわってきた。

カナダへ行く四日前、なんとか予定を明けて、立山へ向かった。

2013年11月23日

この週末は降り続いた雪も止んで良い天気が予想されていて、たくさんの人が立山へ来ていた。

ケーブルカーのターミナルは大きなバックパックを背負う人たちでいっぱいで、予定より2時間くらい遅れて山に上がった。

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ケーブルカーとバスを乗り継いで室堂まで向かう1時間の道のりは、秋から徐々に冬へと変わりカナダを思い出す景色が目の前に広がった。それまで秋モードだった自分もその景色に一気に冬を思い出した。

バスを降りこれから歩こうかという時、ふと誰かの会話が聞こえてきた。

雪崩があって、、、な、、

その時はよく聞こえなかったけど、雪崩があったのは確かみたいで、アナウンスでも言ってたのを覚えている。

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山には本当にたくさんの人が来ていて、本当に雪崩があったのかと思ってしまうくらい賑わっていた。僕たちはテント泊の予定で来ていたので、室堂から歩いて3,40分の雷鳥沢のキャンプサイトへ向かった。

目の前には白い山と青空しかない最高のキャンプサイト。

雪崩の後も少し見えるけど、全貌はよくわからない。

テントを張り、滑る準備してハイクアップを始めた。

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ハイクアップをしていくと雪崩の全貌が見えて来る。

そして空にはたくさんのヘリが飛び回っていて、救助隊やテレビの報道の人であろう人たちも違う場所を登っているのが見える。

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最高の天気に最高の景色。最悪な雪崩。複雑な気持ちで山を登っていた。

雪崩れを真正面から見た時は、自然の大きさと人の無力さを感じさせられた。

そして目的の地点まで後少しの所で記念撮影をしていたところだった。

自分たちのいる場所の少し下で雪崩が起きた。

雪崩はかなり下の方まで行き、ハイクし始めた場所まで到達した。

下の方には人もいて、雪煙をかぶっている人もいた。

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そこからもう少し上がり予定通り目的の場所へ着いた。

山の上は風が強く、一段と冬を思い出す。

日は落ち始め、空は赤く、山も色づき始めた。

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パウダーの感覚を噛み締めながら、ターンしていく。

雪崩の事が頭をよぎるけど、綺麗な夕日に山の恐ろしさが消されそうになる。

同じ山で起きている事なのに、さっき起きた事なのに。

時間やタイミング、滑る場所が印象を変えてしまう。

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山の美しさと恐ろしさは本当に隣り合わせで、少しの判断で結果は大きく変わる。

自分の判断次第で最高の瞬間も最悪の瞬間も味わえる。

それが山の面白い面でもあり、危険な面にもなる。

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最後まで滑りきりハイファイブをかわす。

少しの笑顔と帰ってきた安堵感を味わい、山に感謝しテントへ戻る。

夜になるとテントのライトが様々な色で光りだし、綺麗な星空と薄らと見える山が自然の大きさを感じさせる。

少しピリっとしたように感じられる空気の中、それぞれのシュラフへ入った。

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山はいつでも危ない。

本当にどうなるかは自分次第。

大きな自然に対して、小さな自分が何を出来るのか。

一歩間違えれば死ぬ事だって出来るし、すごい感覚を味わえる時もある。

僕たちは行かなきゃわからないこの感覚にハマっているのかもしれない。

山に向かい自分の大きさを知る。

山への感謝を忘れず、これからも向き合って行こうと思う。

この日の事を忘れる事はないだろう。

Text & Photo : Kazushige Fujita

Location : Tateyama


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