Photographer 小野塚章インタビュー

当たり前の様に日本のスノーボードメディアに露出されている写真は海外カメラマンが撮ったものも数多くあるが、日本人カメラマンの作品も数多く上がってい る。出来上がった写真の見て感動する事もたくさんあるが、その主役はライダーという事が殆どでカメラマンはどちらかというと裏方、というイメージがある人 もいるのではないだろうか?
今回はカメラマンが主役としてDEZZERT magazineの小野塚章のインタビューをお送ります。

1)カメラマンという仕事には様々なジャンルがあると思いますが、スノーボードのカメラマンを選んだのはどうしてですか?

僕は昔からスノーボードのカメラマンになろうと思ったことはないんです。ただスノーボードをの写真を撮るのが好きだったんです。中学3年生の頃から、8㎜ ビデオや使い捨てカメラで友達を撮っていたんです。でも当時は使い捨てカメラで撮っていたから、画角や露出なんて分かってるはずもなく、友人が飛んできた 時に「ここだ!」と思った瞬間にシャッターを押すだけ。でもそれでもとても楽しかった。他には8㎜ビデオのコマをピクチャで出力して、アルバムに貼付け。 シークエンスにして自分の滑りの動きを見たりしてました。その後、新潟・奥只見丸山でバイトしながら写真を撮ってたんですけど、アメリカ・マウントフッド でやっているハイカスケードのキャンプでキッチンスタッフの募集があったのを知りました。当時、英語が全く喋れないのに応募したら、自分のキャラクターを 認めてくれたのか採用してもらえました。現地に行くと当時トップライダーだったForum8とかが目の前でガンガン滑ってるのを目の当たりにしてとても刺 激的な毎日で自分もスノーボードが大好きなので滑ってたら怪我をして、その時に「仕事できてるんだから自分の管理もしっかりやれ」といわれてそれから仕事 以外はずっと世界のトップライダーの写真を撮ってました。しかし結果カメラの奥深さを知る事ができたんです。
いまだに深すぎて勉強の毎日です!!

アメリカから帰ってきた後は、友達のワンルームのクローゼットにスペースを作って無理矢理居候させてもらいながら、スタジオマン、写真館、プリント屋、ゴ キブリ駆除バイトとか飲食バイトとか色んな仕事をしながら写真の勉強してました。その時から冬は山で写真を撮り、夏は都内で写真勉強とバイトの毎日という ルーティーンになったんですが、カメラマンとしては職業と言える状況ではなかったですね。スノーボードの写真は貯まっていくのに雑誌に使われる機会が無 く、「もしかして自分には向いてないんじゃないか?」と思った時もありしました。そんな時に酒井くんという人に知り合って、スノーボードのフリーペーパー を作りたいと相談されたんです。しかも自分の写真を使いたいという風に言われた時に、ここで自分の写真を出して評価してもらえなかったらカメラマンを辞め る覚悟で承諾しました。それが今から6年前に始めたDEZZERT magazineです。今思えば、このフリーペーパーのおかげで、仕事や撮影場所やライダーのつながりは広がっていきました。間違いなく僕のターニングポ イントだし、今の自分があるのはDEZZERT magazineの酒井君と吉田君のおかげだと思ってます。

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Rider:Shunsuke Hoshino   Riderとの関係性の構築無ししてこの笑顔はうまれない

2)スマートフォンやコンパクトデジカメで写真を撮る人が増えてきた中で、プロのカメラマンとしてうまく写真を撮るコツやアドバイスがあれば教えてもらえますか?

まず「何を撮るのか」ということを意識して決めておくことが大事だと思います。
ゲレンデの話になっちゃいますけど、例えばゴーグルをしている人のポートレイトを撮るときは出来るだけ近くによって撮ってあげると良いと思います。ゴーグ ルをしている分、表情が分かりづらいので寄ってあげることで分かりやすくなるんです。リフトからゲレンデにいる友人撮ったりリフトで1つ前に乗って後ろを 向いて友達を撮るのもオススメです。バックに山が入れば雰囲気も出せますよ。それにライディングの写真を撮る時は必ず身体の正面が自分の方を向いているよ うに撮ってみてください。スピンした時に背中やお尻しか写らないと格好つかないので、ライディングはなるべく正面で撮ってみてください。
あとは流行のミラーレンズに周りの風景を反射させて撮影する方法もオススメです。
雪面に近い低い視線から撮るといつも自分がみている目線とは違うので印象が変わった写真が撮れると思います。『いい写真を撮る』という事はその時だけ自分がスノーボードを楽しむのは置いといて写真を撮るのを楽しめるかが鍵ですね!!

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Rider: Ruiki Masuda   Riderとのセッションは天候も左右しながらの真剣な時間

3)章君のここ数年撮った写真の中から3枚ピックアップして頂けますか?またその写真に対してのストーリーを聞かせてください

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Rider: 佐藤なつき

『今年ビデオリリースするmaddocのフィルマー、藤井智浩から誘われて撮影前日入りさせてもらい一緒にこのアイテムを作り設置しました。この時はライ ダーが石田貴博、なつき、あともうひとりの合わせて3人。タカヒロが早々にメイクして、残り2人!! どこのゲレンデにもあるアイテムではないので何回も何回もトライしていました。こういうロングなアイテムの時は比較的アイテムに乗ってすぐに撮ったりする んですが『絶対メイクした!!』って事を見せたかったので最後の最後でシャッターを切りました』

02(5)
Rider: 長谷川篤

『このストリートアイテムを見たときにこれだ!! と思って、ひたすらスコップに水をすくっては地面に撒いてました。カメラマンは素晴しい写真を撮る為には何でもやらなければいけません』

03(4)
Rider: 遠藤義明

上の篤の写真と同じポイントでアングル違いですね。篤を撮影してから1時間くらい経ってから周りにガスが出てきて、ライティングも変えてかっこ良く見せら れたと思います。その場その場の環境によって対応することも大事です。長谷川篤の写真と同じ場所だけど、撮り方によってはここまで違う写真が撮れるんで す。

4)スノーボードをしている人はムービーや写真に興味がある人が多いと思います。その人達に向け、章君から一言お願いします。

これからスノーボードのカメラマンになりたいと思ってる方に!!
前の写真3枚でも言える事なんですが、もし滑っている所を撮ることがあったら同じ場所で何枚も撮るより、場所を変えてたくさん撮ったほうが良いと思いま す。というのも何枚も良い写真が撮れていたとしても同じカットだと「この1枚」というものが少なくなる。それに彼らも怪我を恐れずに頑張っているし、それ に応えてライダー本人達の露出、発表の場をできるだけ多くしてあげたいと思っているからです。みなさんが今後、写真を見る機会があれば是非ライダーの気持 ちやカメラマンの気持ちを想像しながら見て貰って、撮り方のイメージを常に抱きつつ楽しい撮影ライフも送って欲しいとも思います。あと年末に DEZZERT magazineの最新号が出るので楽しみにしてて下さい。

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Akira Onozuka. You are good Dad, bro!

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HP
interview and edit by

Credit  Kazu(17)