「Burton US Open」2021年大会がパンデミックの影響で中止決定。スノーボードの歴史を刻む、世界最高峰の大会として再び戻る日に向けて

人類を脅かすパンデミックを巻きおこし、多くの人を苦しめ、命を奪っている新型コロナウイルス。日本はもとより世界中でまだ予断を許さない危機は続くなか、先日、世界で最も長い歴史を持ち、常に世界中のスノーボーダーから注目を集めている最高峰の大会「Burton US Open」に、次期シーズン開催中止の決定が下された。
Burton US Openは、1982年にバーモント州スーサイド・シックスにて、第1回大会を開催。1985年には開催地をバーモント州ストラットンに、2013年よりコロラド州ベイルへと場所を移し、38年の歴史を重ねながらスノーボード界に常に新しいムーブメントを巻き起こしてきた間違いなくこの世界に不可欠な大会だ。
2015年大会では角野友基が男子スロープスタイル部門で日本人初の優勝を獲得。さらに2018年男子ハーフパイプ部門にて平野歩夢が優勝。前回大会では男子スロープスタイル部門で角野友基が2度目の優勝、男子ハーフパイプで戸塚優斗が優勝。日本のスノーボーダーたちが世界の強豪との最高レベルの闘いの中でタイトルを勝ち取り、彼らの活躍とともに日本のスノーボーダーに多くの感動と刺激を与え続けてきた場としても思い入れが深い。

Burtonは1982年からこのイベントのホルダーとなり、運営を続けているが、38年という年月の中で、この大会がスノーボード業界に与えてきた力はとても大きなものであることは間違いない。

BurtonのCEOであるジョン・レイシーは次のように述べている。
「何か月も先のBURTON US OPENを中止にすることは、非常に難しい判断でした。今から約9か月後のパンデミックの状況を私たちには予測できません。開催について様々な選択肢を検討し、公衆衛生上のリスクや、実施が不確実なイベントに対して数千万円の投資をする財務的なリスクを考慮しての判断となります」
ジョンはさらに、「イベントのキャンセルには多くの方ががっかりしていると思います。このイベントを実現させてくれる全てのライダー、観客、ブランド、パートナー、イベントクルーがいてこそ、BURTON US OPENは38年以上に渡ってスノーボードコミュニティから心から愛されているイベントであり続けています。単なるイベントではなく、何よりもスノーボードファミリーの再会の場であり、キャンセルに伴う影響はスノーボードコミュニティ全体に広まっています。残念ではありますが、私たちにとって、このコミュニティの長期的な健康を守ることが最も重要です。つまり、新型コロナウイルスの感染拡大を遅らせるために、来年の開催を見送る必要があるのであれば、私たちはそれを受け入れ、困難を乗り越えていきます」、とスノーボードコミュニティ全体への影響についても話している。

Burton US OPENは、大人から子供まで楽しむことができるイベントとして親しまれている。世界トップレベルのコンテストを無料で観戦できるだけでなく、注目のアーティストやDJ によるフリーコンサートが開催され、大会の模様は世界中に発信される。
もちろん、この大会の中止決定は本当に残念でならない。しかし、Burton US Openはアメリカや日本だけでなく、世界中のスノーボーダーにとって重要な大会。だからこそ世界がこのパンデミックを乗り越えていくことの必然性とも関係することも十分我々は理解すべきだろう。

再来年以降の開催についてBurtonのオーナー兼チェアマンであるドナ・カーペンターは、「もちろんBURTON US OPENは戻ってきます。世界最高のイベントです!」とコメントしている。

日本でも人々の自粛などの努力により、事態を克服する方向へ確実に向かっているだろう。新型コロナウイルスのパンデミックを我々の手で収束させ、来シーズン、再び我々がスノーボードを楽しみ、その先に再びBurton US Openの感動が戻ってくる日を迎えたい。

2020年大会_HP MEN表彰式。若き日本人選手にとっても夢の舞台であることは間違いない。前大会HPで優勝を果たした戸塚優斗も帰国後のインタビューでこの大会での優勝で得た喜びの大きさ語っていた

photo: Burton