Boa® Fit System
最高のパフォーマンスでライディングを楽しむために
自分が求めるフィットにすばやく、正確にカスタマイズ

2001年にBoaは革新的システムとして登場し、十数年の進化を経てたくさんのスノーボードブーツで装備されるようになってきた。みなさんはBoaについてどのような印象を持っているだろうか?
現在のBoaフィットシステムは「ブーツを締めるのが簡単」ということよりも「すばやく、楽に、正確なフィット」を求めて進化を続けている。スノーボーダーひとりひとりが求める最高のフィット感をカスタマイズできるのがBoaならではの魅力。ここではBurtonライダーであり、Boaのパイオニアのひとりである竹内正則に現在Step On®システムと共に使用しているBoaフィットシステムのフィーリングを語ってもらった。

竹内正則がブーツに求める
「フィット感」について

実は僕はシューレースタイプを使っていた頃から、どちらかというとフィット感に少し余裕がある方が好きで、ブーツをガチガチに締め上げるのは好きじゃなかったんです。昔はアルパインのレースにも出てハードブーツも履いてましたが、その窮屈感って実は嫌だったんですよ(笑)。タイトなフィットで乗ってたのはレースだけで、そのシーンが終わればすぐ脱いじゃったり。僕はもともとサーフィンをやっていて、スノーボードを始めたというのもあって、サーフィンのような足首の自由さを雪山でも求めたかったというのがありますね。だから、今までのキャリアにおいてもフィットをタイトにするわけではないので、シューレース、そしてBurtonのスピードレース、今のBoaフィットシステムと締め上げる方法は変わってきましたが、朝滑り始める前にシューレースを締め上げたら、基本的にそのままで1日を過ごすという感じがほとんど。もちろん急斜面を滑る時など少しフィットを高めたいという時は、以前はストラップを強く締め上げることで対応していました。基本的には自然なフィットというか、自由な動きを優先してきましたね。

BurtonのStep On®システムと
Boaフィットシステムのコンビネーション

しかしながら、ここ数年僕もBurtonのStep On®システムのバインディング、ブーツをメインで使うようになって、より一層フィットは調節するようになってきました。Step On®システム自体の特性で一般的なストラップバインディングとブーツと比較すると一体感は非常に高いんです。それはメリットだと思うんですが、以前であればブーツのフィットは少し余裕があった時でも、バインディングのストラップの締め方自体で足周りのフィーリングを変えることができました。ブーツが多少緩くてもストラップを閉めればフィット感を高めることが出来ますし、バインディングを外せばまたルーズな感覚に戻ることができる。ですが、Step On®システムではフィット感のほとんどのフィーリングがブーツでの調節になってきます。だからブーツのフィット調節が非常に重要になっています。僕は最近ではBurtonのSwath Step On®というブーツを使っていますが、これは足の甲を中心とした下部、かかとからすねにかけての上部を分けて締め上げられるように2つのBoaが付いていて、その調節を行うことでベストのフィット感が得られるのです。しかもBoaのダイヤルで行う調節は過剰な力をかけることもなく、ダイヤルを回すだけ。僕の好きな締め過ぎず、ゆる過ぎず、ちょうどいいフィーリングを得ることが出来て、ライディングの快適さがより高くなりました。すごく気に入ってますよ。

ダイヤル操作で自分好みのフィット感にピタッと合わせられるというカスタマイジングを可能にするBoaシステム。コンパクトなダイヤルは巻き取りのスピードも早く、さらに信頼性も高い

Boaフィットシステム
より快適に使いこなすために

BurtonのStep On®のBoaを使ったブーツは4種類あってそれぞれに特徴があるんですが、僕が今使っているSwath Step On®はBoaフィットシステムを締め上げてもあまり圧迫感がなく、しかもブーツ自体がフレキシブルな性能を持っているんです。2つのBoaの下部セクションは少し強めに締めて、上部はそれほど強くは締めてない感じ。それでも十分なフィット感があってバインディングのストラップで締め上げる感覚がない分、ブーツ全体のフィット感がその安心感をしっかりカバーしてくれる感じですね。一般スノーボーダーの中にはBoaを強く締め過ぎている人もいるようですが、そこまで締める必要もないと思うんです。逆に強く締め過ぎはトラブルの原因にもなりますし。もともとブーツそれぞれの本来の性能、それを引き出すための適切なフィット感がありますから、そこにBoaフィットシステムを使って合わせていくのが基本でしょう。

Boaは単なるパーツサプライヤーではなく、各メーカーそれぞれのブーツ作りのコンセプトに合わせて、ブーツの性能を最大限に引き出すためのパーツ構成やシステム設定を共同で研究開発している

それぞれのブーツごとに
Boaフィットシステムの使い方が異なり、
それによりフィット感も変わってくる

BurtonのStep On®のブーツに装備されているBoaも、各モデルごとに配置の仕方が変わっていて、ダイヤルを回して締め上がってくる時のフィーリングは違うんです。他のメーカーとなったらさらにBoaの使い方は異なりますよね。例えばかかとをよりしっかりホールドするようにBoaを配置していたり。フィット感もいろいろ変わってくるわけです。僕も最初はPhotonを使っていましたが、このブーツにはアンクル部分に装着したベルトをBoaで締めることでガッチリしたフィット感がありました。そのモデルごとのフィット感を確かめて、この部分の締まり方が自分にとってすごくいいっていうものを見つけることも重要ですね。

Burtonが採用しているBoaフィットシステムは一般的に使用されているステンレスワイヤーではなく、Speed Zoneのモデルにも用いられているダイニーマというスーパー繊維を使ったレースを使用しています。金属ではないので締め上げた時のフィーリングもバランスが良く、足にもソフトな感じがして、Boaのフィーリングをアップさせてくれていると思います。

左からStep On®のPhoton So 、Swath So 、通常タイプのPhoton 、Ionの正面より。それぞれのモデルのレースシステムのレイアウトが違うのは、各モデルが求めるパフォーマンスが異なり、それに伴いフィット感のバランスも変わってくるからだ
左からStep On®のPhoton So 、Swath So 、通常タイプのPhoton 、Ionの正面より。それぞれのモデルのレースシステムのレイアウトが違うのは、各モデルが求めるパフォーマンスが異なり、それに伴いフィット感のバランスも変わってくるからだ
現在Burtonのみが採用しているTX3というレースはヨットやレスキュー用ロープブランドのニューイングランドロープスとBoa社との共同開発のレースだ。スノーボードブーツを締めるのに十分な強度を持つ

「簡単」を求めたシステムから
「パフォーマンス」を求めたシステムへ

Boaフィットシステムも進化を重ねて、ブーツを簡単に締め上げ、脱ぐ時に素早くリリースできるという機能から、よりパフォーマンスをより引き出すためのシステムになったという感じがします。BurtonのStep On®も同様に簡単さだけではなく、足元のパフォーマンスを向上させるシステムだと思うのですが、やはりBoaでフィット感をパーフェクトに調節できるからいいんです。僕にとっては違和感がないことがスペシャル。自分なりのフィットを出しやすいということが魅力だと思います。それがライディングパフォーマンスにもつながるんです。

朝ブーツを家で履いて自分のベストなフィットに合わせたら1日ずっと履き続けられる。自然なフィット感が得られることで疲労も少なくて済みます。あと、スタイルとしてもレースを緩めてもシューレースがバラバラすることもないっていうのも気に入っているところですね。

Masanori Takeuchi
@Hikarigahara photo service
ベストな状態にカスタマイズされたフィットが、竹内正則のしなやかなターンには不可欠だ