竹内正則が語る、ストレスのないバックカントリー・ライディングを支えるレイヤリング術とAK457のパフォーマンス

cb1c4456スノーボーディングのあらゆるコンディションに対して、常に快適な行動を支える基盤となるのはウエアだと言っても過言ではない。足回りのハードギアもライディングのパフォーマンスに大きな影響力を与えるが、それをコントロールするのが我々の全身を使ったひとつひとつの動きである限り、少しの動きの違いでライディング自体は良くも悪くも変化する。特に本格的バックカントリーのフィールドでは重要だ。だからこそライディングの経験値が高ければ高い多ければ多いほど、アウターウエアの性能、ベース、ミッドレイヤーを活用したレイヤリング術の大切さを感じずにはいられない。

 本格的バックカントリーの現場での豊富な経験をもとにAK457のテクニカルディレクターとして商品を開発し、自らもライダーとして、ガイドとして活躍するスノーボーダー 竹内正則。AK457は彼のスノーボーダーとしての活動の全方位をカバーしている。竹内がベースとしているのは新潟県、頸城平野の南東部。ここに連なる山脈、標高1000mを超えたエリアは、日本海を見渡せる絶景のロケーションが広がり、スティープな北斜面、メローなクルージングライン、ブナ林のツリーランなど変化に富んだ斜面を有す、彼が主宰する「光ケ原キャットツアー」のフィールドだ。ここでシーズンを通して竹内自身が得たすべての経験値が、AK457というプロラダトに注ぎ込まれ、進化を続けている。

今回は竹内自身のレイヤリング術と、彼が開発するAK457のプロダクトについてついて聞いてみた。

▶︎LAYERING
バックカントリー・フィールドでのコンディションと
活動の変化に素早く適応するレイヤリング術の基本

「いつも同じところで滑っていれば前日のコンディションをベースに気温とか、天気を見てレイヤリングを決めていくことができます。でも、基本はその日その日で決めていくことにあります。AK457の場合、ベースレイヤー、ミッドレイヤー、シェルの組み合わせが基本。ベースレイヤーはハイネックでバラクラバのような感じで一体化できる形状のものか、クルーネックにしてネックゲーターでカバーするかというところから始まります。そして次に厚さの違うフリースのミッドレイヤーを選び、シェルを合わせるという風に。僕はほとんどがこの3枚で、気温差±10℃をカバーして、それ以下にも下がるようなコンディションではミッドレイヤーにダウンを使ったり、逆にシェルをダウンジャケット(AK457 LIGHT DOWN JACKET)に変えてカバーします」
ベースレイヤーは保温をしながらも汗を吸収、ミッドレイヤーは保温しながらも風を通す。ハイクアップして汗をかいて熱をため込んでも、シェルを脱げば内部に溜まった熱をパッと抜くことができる。レイヤリングは外部からのコンディション変化と運動量によって生じる内部での熱の発生という、内外の環境の変化を調節することができる。ひとつひとつの性能はもちろんのこと、この3枚の組み合わせによるレイヤリングでどのような環境をつくるかがポイントなのだ。

▶︎BASE LAYER HI NECK FLEECE+MID FLEECE JACKET+GUIDE JACKET+HI-TOP PANTS

ベースレイヤー、ミッドレイヤー、シェルの3枚がレイヤリングの基本。アウターは竹内が最も使う頻度が高いGORE-TEX 3レイヤー素材でつくられたGUIDE JACKET
ベースレイヤー、ミッドレイヤー、シェルの3枚がレイヤリングの基本。アウターは竹内が最も使う頻度が高いGORE-TEX 3レイヤー素材でつくられたGUIDE JACKET


ミッドレイヤーを使い分け
ウエア内部の環境をコントロールする

AK457には、MICRO FLEECE JACKETMID FLEECE JACKET2種類のジャケット、さらにはMID FLEECE VESTがある。MICROは薄手でMIDは厚手、LサイズでMICRO290gなら、MID400gとボリューム感も異なる。しかしながらどちらも高い保温性と優れた速乾性が特徴。「今年のミッドレイヤーはシェルを着ればとても暖かいし、特に熱の抜けやすさがいい」ハイク時に暑くなって、シェルを脱げば一気に熱が発散され、体を包む環境が大きく変わる。さらにミッドレイヤーにダウンを使うことも可能。PACKABLE DOWN900フィルパワーという軽量ながらダウンが大きく膨らみ保温性に優れた高品質のホワイトグースダウンを使用。ミッドレイヤーにダウンを使えばさらに高い保温性を引き出すことが可能なのだ。

▶︎MICRO FLEECE JACKET, MID FLEECE VEST, MID FLEECE JACKET, PACKABLE DOWN JACKET

ベースレイヤーはHI NECK FLEECE、ミッドレイヤーはMID FLEECE JACKET、薄手のMICRO FLEECEと共に使い分けで活躍するアイテム。ベースレイヤーは速乾性と透湿性、ミッドは速乾性と保温性、内部環境を整えるための機能と共に、さらにそのフィット感や動きやすさも重要
ベースレイヤーはHI NECK FLEECE、ミッドレイヤーはMID FLEECE JACKET、薄手のMICRO FLEECEと共に使い分けで活躍するアイテム。ベースレイヤーは速乾性と透湿性、ミッドは速乾性と保温性、内部環境を整えるための機能と共に、さらにそのフィット感や動きやすさも重要
MID FLEECEにはベストもある。レイヤリングのバリエーションの幅を広げる上で活躍してくれる
MID FLEECEにはベストもある。レイヤリングのバリエーションの幅を広げる上で活躍してくれる
厳寒仕様として、PACKABLE DOWN JACKETを合わせることも。コンパクトにバックバックに収納出来、急激に寒くなった時には、900フィルパワーの軽量高品質グースダウンで温かさで大活躍してくれる
厳寒仕様として、PACKABLE DOWN JACKETを合わせることも。コンパクトにバックバックに収納出来、急激に寒くなった時には、900フィルパワーの軽量高品質グースダウンが暖かさを保ってくれる

春の暖かい日のレイヤリングは?

「基本はベースレイヤー、薄手のミッドレイヤーとしてMICRO FLEECE JACKET、そしてシェルのレイヤリングですが、ベースレイヤーの代わりにテック素材のTシャツなどを着る日もあります」ただ、春でも基本はレイヤリングで調節。陽のあたる場所と日陰、時間帯による気温の変化にも対応できる装備でいくという。

バックカントリーではあらゆる状況に
対応するためのレイヤリングが前提

でも、リフト回しのパウダーライディングなら
動きやすさ重視のレイヤリングもOK

そこではダウンジャケットも大いに活躍する

 

ダウンジャケットのシェルを使えば
内側を軽めのレイヤリングにできる

滑る場所にもよるが、この新潟エリアだと通常のレイヤリングにダウンジャケットを合わせる時は、トップシーズン、雪が降っていて極寒というコンディション。「ダウンジャケットをシェルとする場合は、ミッドレイヤーを薄手のものにするなど、レイヤリングで調節することが多いですね。シェルがとても暖かいので、内側を薄くできる。そうすると実際はレイヤリング全体がかなり軽いフィーリングになり、動きやすいんです。だから、リフトアクセスでパウダーを滑るという時には、このダウンジャケットのシェルはとても調子いいですよ。逆にバックパックを背負ってハイクする日は、それほどダウンのシェルを使わない。そう使い分けています」

▶︎LIGHT DOWN JACKET

アウターにダウンジャケットにすればより保温性が高くなる。竹内の場合、ハイクを必要としないようなシチュエーションで、ミッドレイヤーを薄めにするなど軽めのレイヤリングで利用することが多いという
アウターをダウンジャケットにすればより保温性が高くなる。竹内の場合、ハイクを必要としないようなシチュエーションで、ミッドレイヤーを薄めにするなど軽めのレイヤリングで利用することが多いという


パンツの内部環境もレイヤリングでコントロール

「パンツもジャケットも同じ素材のベースレイヤー、ミッドレイヤーがあります。1枚のみのときもありますが、極寒時は2枚を重ねることもある。AK457には厚さの異なる3種類のインナーパンツがあるので、それをコンディションに合わせて使いわけています。自分のようにほぼ毎日雪山にいるのとは違い、週末に滑り行くという人はそのあたりのチョイスが難しいとは思います。ただ、パンツは上着よりも鈍感な部分ではあるのですが、自分の基準のレイヤリングというものをベースにその日の朝の状況で、そこから厚めに、薄めに、どう調節するかを決めるのが良いでしょう」

▶︎BASE LAYER PANT FLEECE, MICRO FLEECE PANT, MID FLEECE PANT

バックカントリーではウエアの性能が、すべての行動力、そしてライディングに大きな影響を与える。MASANORI TAKEUCHI  photo by TOCHI
バックカントリーでは、ウエアの性能がアクセス時の動き、そしてライディングに想像以上の大きな影響力を与える。MASANORI TAKEUCHI photo by TOCHI

 

▶︎PACK
レイヤリングと共にバッグの性能も
バックカントリーの行動力を大きく変える

「バックカントリーっていうものに本格的に入っていくと、結局使わなくていいものも持っていくことになる。実際は使わないにこしたことがないというものがバックに多く入っているんです。そして使う時にはスムーズに取り出せることが必須なんです」だからこそAK457バッグの性能には、竹内の拘りが十二分に反映されている。
「バッグは最初は背面のアクセスだけだったんですが、今は背面だけでなく、サイドからのアクセスもできるようにして、といろいろマイナーチェンジをしてきた結果、このカタチになってきました。基本的に誰が使っても使いやすいようにと考えながら、僕の経験などから変えてきました」
使い勝手にこだわると共に、素材やパーツの進化と共に、製品はどんどん進化してきた。それが安定したバックカントリーの行動力を支えている。ストレスの少ない動き、厳しいコンディションで活躍するものだからこそ、そこを追求する必要性がある。

本格的バックカントリーでは使わなくても良い装備をバックに入れておくことになる。だからこそ、収納、使い勝手などに拘る。「バックの開発は難しい」竹内もそう語る
本格的バックカントリーでは使わなくても良い装備をバックに入れておくことになる。だからこそ、収納、使い勝手などに拘る。「バックの開発は難しい」竹内もそう語る


バックパックも重要なギアの一部、バッグ内部へのアクセス方法

パーツの品質、細部の位置設定、使用時のバランスなど
そこに竹内が開発するAK457のバッグならではの拘りを感じる

 

33Lというサイズは本格的なフィールド用、デイユースなら17L

「僕はメインで33Lのバッグを使っています。バックカントリーの本格的なフィールドで滑るために、フル装備を持って動くとなるとこのサイズがベストです。17Lは軽装備用、春のシーズンなどで荷物をコンパクトにできるときに使っています。バッグの開発は結構難しく、未だにいろいろやっています。誰を基準にするか、ベルトの長さ、パーツの選び、サイドのポケット、板をつけたときのバッグのバランスなど、細部を気にして作っています」
この33Lのバックでいろいろと考えられたノウハウをベースにリリースされた17Lのバックも、デイユースには使い勝手の良いバックだ。

▶︎33L PACK, 17L PACK

竹内がメインで使う33L PACK、ストック、シャベルなどの必須ギアを効率良く収納。ボードを背負う時のバランスにもかなり拘って調整されている
竹内がメインで使う33L PACK。ストック、シャベルなどの必須ギアを効率良く収納。ボードを背負う時のバランスにもかなり拘って調整されている

▶︎取材を終えて
AK457と竹内正則

1980年代後半から国内のコンテストシーンの頂点を極め、世界レベルのライダーとセッションし、そのライディングシーンと共に国内のスノーボードシーンを牽引してきた竹内正則。AK457はBURTONのテクノロジーと共に竹内自身の豊富な経験値を導入した「完成されたプロダクト」だ。どの年代のプロダクトを見ても「完成されたプロダクト」であるが、細部の進化がバックカントリーのフィールドの行動力を大きく変え、ライダーのストレスを軽減する。自然という大きな力の前で完璧なるギアにAK457が近づくために、すでに完成の域にありながらも、年々の改良は今もなお続く。進化は止まることがない。それぞれのアイテムに竹内自身のスノーボーダーとしての徹底した拘りが表現されている。それはアウトドアブランドがつくるものとは違う、スノーボーダー目線での拘りに他ならない。こまかなジップの位置や長さ、すべてがスノーボーダー仕様。AK457というブランドの魅力はそこに帰結する。

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光ケ原での豪快なパウダーライディングを収録したAK457 movie を要チェック!

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