稲村 樹が送るコンテストレポート イナムライフ#5 日本編 COW DAY & Hammer Banger Session

ライダー稲村 樹が世界を転戦し、今のコンテストシーンをライダー目線で切り取っていくイナムライフの第5弾!今回は、白馬でおこなわれたCOW DAY、そして巨大キッカーセッションHammer Banger Sessionの模様をお届けする。

COW DAY

2年前に牛乳石鹸が冠スポンサーとして長野・HAKUBA47でスタートしたCOW DAY。
大会は2日間でおこなわれ、1日目は一般エントリーのライダーのみの予選会で、2日目は前日から勝ち上がったライダーと招待ライダーでの本戦となっている。内容としては日中にビッグエアをおこない、夜にジブをおこなうといった流れ。ビッグエアだけではなくジブの大会も行われるため、様々なスタイルのライダーが集まってくる。今シーズン、怪我でほとんどの大会に出場できなかった自分もこの大会にはなんとか出場することができた。

20Mのビックキッカー。47パークディガーがこの日のために用意したキッカーのクオリティーは最高だった。トリックも仕掛けやすく、飛びやすい。良いキッカーはライダー達のレベルをも引き上げる。
Photo: Keiji Okamoto 20Mのビックキッカー。47パークディガーがこの日のために用意したキッカーのクオリティは最高だった。トリックも仕掛けやすく、飛びやすい。良いキッカーはライダー達のレベルをも引き上げる。
二回戦からは1本ランを終えるごとに女の子に囲まれて点数が発表されるのを待つ。まさにAIR&STYLE風。
Photo: Keiji Okamoto 二回戦からは1本ランを終えるごとに女の子に囲まれて点数が発表されるのを待つ。まさにAIR&STYLE風。
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Photo: Kentaro Fuchimoto 2回戦のスタイル対決で友基が繰り出したF360ステイル。

ジャンプはスーパーファイナルまでいくつかの関門がある。一回戦は3本中2本の得点の高いランで決まるアベレージ対決、2回戦は2本中1本のベストランで争うスタイル対決。そこからはトーナメント方式になり、本当にジャンプの上手いライダーが最後まで残る仕組みだ。スーパーファイナルでは3本中1本のベストランという事もあり、ライダー達が自らをプッシュし、ビッグトリックを繰り出していく。決勝では全員がトリプルコークを繰り出し、まさに世界レベルの大会となっていた。その中でも優勝したのはバックサイドトリプルコーク1620を決めた角野友基(RIDE)。高さ、完成度、着地、全ての面で他を圧倒していた。
このトリックを最後の最後で決めてくる勝負強さなども含めて彼の凄さには鳥肌が立った。

セクションは左からフラットのドンキレール、ダウンレール、ダブルダウンレール、L字レールとトランスファーレール。アイテム同士の距離も考えて設置してありトランスファーなどを可能にした様々な攻め方ができるようになっていた。
Photo: Kentaro Fuchimotoセクションは左からフラットのドンキレール、ダウンレール、ダブルダウンレール、L字レールとトランスファーレール。アイテム同士の距離も考えて設置してありトランスファーなどを可能にした様々な攻め方ができるようになっていた。

ジブでは二つのヒートに分かれて30分のジャムセッションをおこない、10人のライダーがファイナルに進める。ファイナルはジャッジがコインを持ち、良いランをしたライダーにコインを配布していく。それに加えて、観客にも1コインずつ配布され、セッション終了後に投票し、コインの獲得枚数で順位が決まっていくシステムだ。ちなみに1コイン1000円。 ”あのライダーたくさんコインをもらっている” というが一目でわかるので非常に面白い。
優勝したのはムービークルーDirty Pimpの一員でもある15歳の米野舜士(GNU)。トランスファーなどで魅せる安定感やレールの乗り方は一味違った。彼の滑りを生で見たことがなかったが、実力の高さに驚かされた。おそらく今後の日本のストリートシーンを引っ張っていく一人になるだろう。

COW DAY ジャンプ編レポートはこちらから
COW DAY ジブ編レポートはこちらから

Hammer Banger Session

ワールドクラスのキッカーで自分の限界に挑戦してみようというセッションイベントが長野・栂池高原にて行われた。とても興味深いイベントだったので滑れないけど車を走らせ1日だけ観に行ってきた。

ワールドクラスのキッカーで自分の限界に挑戦してみようというセッションイベントが長野・栂池高原にて行われた。とても興味深いイベントだったので滑れないけど車を走らせ1日だけ観に行ってきた。

脇田トモキ(REDBULL)。夕焼けセッションで繰り出されたSWB540テール。 個人的にお気に入りの写真。運良くこの日は一日中晴天だった事もあり景色がかなり綺麗だった。
脇田トモキ(REDBULL)。夕焼けセッションで繰り出されたSWB540テール。
個人的にお気に入りの写真。運良くこの日は一日中晴天だった事もあり景色がかなり綺麗だった。

“自分の限界に挑戦する”というこのイベントの目的通り、この日はライダー達がお互いにプッシュし合っていた。世界でもトップクラスの大会でしか見られないようなトリックをたくさん観ることができた。ライダー達が限界を超えてトライする姿を目の当たりにして、自分も一緒に飛びたいと思う反面、それに見惚れてしまっている自分もいて、不思議な気分にさせられた。
今後は世界トップレベルのトリックを練習するためには常設されているパークではなく、特別に巨大キッカーを作ることが必要だと感じた。それだけトリックのレベルも上がり、これまで以上の”滞空時間”が必要になったのだ。今後、世界で戦うライダー達のためにこのような環境を用意してあげる事も必要となってくる。このイベントはまだ1年目。さらにパワーアップして来年もおこなうらしいので、その時には自分もこのセッションにぜひ参加したい。