白馬のマウンテンフリースタイラー北江正輝と山崎恵太が、群馬・川場を滑り倒した1日。

北アルプス白馬・八方尾根をベースに活動するフィルムクルー「HACHI」のオリジナルメンバーである北江正輝と山崎恵太。3月某日、2人がこの春話題の「THE SURF RIDE PARK」という3D人工地形コースを展開している群馬・川場スキー場を滑り倒した。果たして、白馬ローカルの2人が滑る川場ラインとは?
Photo: KUWA
Text: Gaisu

フリーライディングの醍醐味を提案する “ENJOY THE RIDE” の提案

首都圏から2時間でアクセスできる抜群の立地が特徴の川場。今シーズン、1日を通してフリーライディングの醍醐味を味わってもらうため “ENJOY THE RIDE” というコンセプトを掲げ、新たなプロジェクトを始動。ゲレンデ内の管理されたエリアの中で、安全にオフピステを楽しめる新たなアトラクションコース「OFF THE PISTE」の展開を始め、フリーライディングやサーフライドの根本的な楽しさを提案するためのレンタル「POWDER SHAPE PREMIUM RENTALS」の設置。そして、スプリングシーズンより展開されている「THE SURF RIDE PARK」。このパークは、3D地形を滑るという日本のカルチャーが生んだ独自の遊び方を体験できる人工地形のアトラクションコースで、今まさに話題を集めている。

KAWABA COUSE GUIDE ⑦が川場名物のクリスタルコース。⑧が「THE SURF RIDE PARK」

 これらの豊富なトピックスを持つ川場を、別のエリアのローカルが滑ったらどうなるか?そんな新たな試みを今回の企画では実現した。キャスティングしたライダー2人は、白馬・八方をホームとする、マウンテンフリースタイラーのマッキーこと北江正輝と山崎恵太。過去数回川場を滑ったことがあるマッキーと、恵太に至っては今回川場が初ライドとなる。2人はこのゲレンデにどんなラインを描くのだろう?未知数のライディングセッションとなる1日をタイムラインで追った。

リフトに乗りながら川場の地形を視察する2人

まさに壁天国の川場

2人は7:30に運行する「FIRST TRACK CAT SERVICE」の専用キャビンに乗車し、一気に山頂までアクセスする。まずは川場の名物コースとも言える「クリスタルコース」のグルーミングバーンでライディングスタート。コース上部は地形の起伏を拾いながらカービングでラインを刻み、途中から現れる左右のナチュラルバンクでスピードを加速させる。3月のスプリングシーズンだけに、コース内の地形はしっかりと顔を出している。2人はコースコンディションを見極めながら、陽のあたる斜面のサイドヒットでジャンプを繰り出し、日陰面のバンクでは息の合ったタンデムライドを楽しんだ。さらに、このコースの中盤には「MURASAKI FREERIDE PARK」が展開され、これまた巨大な人工地形が点在する。この朝イチラインだけでも壁への当て込みを十分すぎるほど満喫している模様だが、その後も「高手ダウンヒル」に展開されている「THE SURF RIDE PARK」へ向かった

「FIRST TRACK CAT SERVICE」リフトが運行する前にスキー場のピークに到着し、まだ誰も滑っていない斜面を滑ることができる。1名/2,000円(朝食券付き)〜
朝一のグルーミングバーンを高速ライドでかっ飛ばす2人
KEITA YAMAZAKI FIRST RIDING
MASAKI KITAE FIRST RIDING
クリスタルコースのナチュラルバンクをタンデムライド
サイドヒットセクションを見つけてはジャンプを繰り出すマッキー

 

「MURASAKI FREERIDE PARK」の入り口にはフロントサイドの壁が2発待ち構えている
2人は息を合わせて2発目のバンクをセッション
バンクのリップでオリジナルスタイルのテールプレスを魅せる恵太

 このサーフライドパークは、もともと迂回路だったコースの各コーナーに雪を盛り着け、フロント&バックサイドの3D人工地形バンクを連続させている。山頂からもアクセスすることができ、バンクドスラロームのようにRのGを感じながら気持ち良く流せるようになっている。バンクに何発も当て込みながら、まるでサーフィンのようにバンクのリップで豪快なスプレーをあげるのもいい。サーファーがスノーサーフに注目する昨今、今シーズンはこのコースに爆発的な人気を集めているようだ。もちろん今後のスノーボードシーンでも春の目玉パークとして定着する予感がしてならない。マッキーと恵太もこのバンク地形に合わせ、白馬・八方ではなかなか見せないサーフスタイルのライディングを魅せてくれた。

恵太もガッツリスプレーを飛ばす
「THE SURF RIDE PARK」のフロントセカンドバンク
バックサイドバンクのRも抜群に気持ち良い

午前中にカービングと地形・バンクライドを満喫した2人は昼にランチを挟み、雪の緩んだ午後は「FLUX PARK」のあるフリースタイルパークへ向かった。このパークはFLUXライダーが完全プロデュースし、毎月リメイクされている。上部にはキッカーやスパインがあり、それらのセクションの法面にもバンクが整備されている。下部にはレールやボックスが設置され、あらゆるスタイルの滑り手が満足できるレイアウトになっていた。最近はフリースタイルパークに入ることが少なくなっている2人のようだが、いざカメラを向けるとスイッチが入り、スタイル全開の絵をバッチリ残すあたりが流石だ。

「FLUX PARK」のキッカーでミラーフリップを繰り出すマッキー
クォーターセクションでトゥイークのバックショットを残す恵太
マッキーは1発目のキッカーでスタイリッシュなB1ノーグラブエアーを魅せた
ジブアイテムには普段ほとんど入らないという恵太。まさかのレールショットはファーストトライでメイク

白馬ローカルが感じた群馬・川場のフィーリング

その後もトップトゥボトムを数本流しながら、2人の感性でヒットポイントを見つけては撮影を続けた。地元白馬エリアでは、スティープなラインからサイドヒットまで、あらゆる山遊びのスタイルを体現する2人だが、ここ川場では、山の地形や斜度に合わせて彼らの新たなスタイルを見ることができた。では、実際に川場を滑ったフィーリングはどうだったのだろうか?最後に2人から感想をもらった。

「THE SURF RIDE PARK最高。こんな林道を白馬にも欲しい」by 北江正輝

「やっぱり川場の魅力は壁ですね。壁がこんなに面白いスキー場って他にあんまり思いつかないくらい。すり鉢地形があるからずっとラインも繋げられるし、適度な斜度があってスピードもある程度つくから壁をずっと攻められる。こういう壁地形が豊富なゲレンデは自分で滑るラインを選べるし、レベルに合わせて色々挑戦できるのもいいと思いますね。朝はクリスタルコースをチョイスして、上部はカービングで流して途中から壁を探りながら雪が緩んでいればサイドヒットで飛ぶ感じ。ゲレンデのトップトゥボトム流しが最高でした。「THE SURF RIDE PARK」は、林道にバンクを盛るっていう、みんなが求めてたものが遂にできたみたいな感じですよね。山全体を使って遊ぶみたいな、こんな林道を白馬にも欲しい。みんなこのコースを滑ったら自分の見るラインも変わってくるだろうし、楽しくなるきっかけになると思います。川場は山頂から地形、バンク、パークまでずっと遊びながら降りてこれるゲレンデだから、中だるみするところがなく、ずっと遊べるっていうのが好きですね。白馬との違いは、八方はもっと斜度がある分スピードが速いので、ハイスピードありきの遊び方になります。逆に川場はミディアムくらいのスピードで、ずっとキョロキョロしながら遊べる場所を探してヒットするみたいな。八方はもっと速いから壁とかもピンポイントになってくるんで感覚が全然違いましたね。川場のように、ただのフラットバーンだけではなく山全体の地形を活かしたゲレンデ作りが広まっていけば、それぞれの山の個性が出てシーンが面白くなっていきそうですね」——- 北江正輝

クリスタルコースの地形でテールブロックをするマッキー

「川場はとにかく壁が気持ち良かった」by 山崎恵太

「今回、川場は初でしたけど楽しかったですね。どこへ行っても壁が無数にあって気持ち良く登れるからスノーボーダーにとっては最高に面白いゲレンデだと思います。滑っていて初心者も結構多いなと感じたので、滑り込んでる人が来たら違うラインで被らずに滑れると思います。「THE SURF RIDE PARK」は、かなり身を預けて滑れたし、バンクドスラロームみたいに曲がれて気持ち良かった。その下にあった「MURASAKI FREERIDE PARK」の地形も好きですね。どちらもサーフィンみたいなライディングができるし、プラットホームに乗って飛んだりもできる。フリースタイルパークは、キッカーも綺麗でレイアウトも面白かったです。クリスタルコースは、フロントサイドの壁もバックサイドの壁もあって、何より朝一のピステンが気持ち良かった。川場は普段滑ってる八方とも全然違う山の地形で、白馬だと岩岳とか栂池に近いかもしれないですね。斜度のあるコースもあるし、トップシーズンの「OFF THE PISTE」でのパウダーも気になります。「THE SURF RIDE PARK」は、フロントサイドのバンクが3発あって、全開で行って気持ち良く曲がれるし、スラッシュもできる。みんなトレインで入ってたからどんどんバンクも育ってきて、最高ですよね。とにかく壁が気持ち良かった印象です」——- 山崎恵太

高手スカイラインの上部に存在する雪庇に当て込む恵太。フリーライドの中にフリースタイルにオリジナルを表現する。まさにマウンテンフリースタイラー
白馬ローカルの2人は川場の特徴を掴み、丸一日を滑り倒した

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