“最広の” 視野をもつゴーグルブランド、SHREDのプロダクト造りへの思い

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ユタ州・パークシティをベースにするゴーグル、ヘルメットブランドSHRED。独自に開発された「SHRED WIDE」と呼ばれる “最広の” 視野を確保するゴーグルや曇りを最小限に抑えられるレンズなど、ハイクオリティなプロダクトづくりを続けている。彼らの情熱に呼応するようにここ数年で日本人ライダーも増え、スノーボーダーでは美谷島 慎、布施 忠らが名を連ねる。プロダクト作りへの情熱はどこから来ているのか。この先はどこへ向かうのか。ファウンダーでもありエンジニアでもあるCarlo Salmini(カルロ・サルミニ)にSHREDというブランドとゴーグル作りについて聞いた。

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ブランドのファウンダー、Carlo Salmini(カルロ)。スノーボード、スキー、サーフィン、スケートボード、マウンテンバイクなど自ら自然の中での遊びを愛し、プロダクト作りへ情熱を傾けている。世界中を飛び回りつつも毎シーズン日本でのスノーボーディングを楽しむなど日本ラバーでもある

-SHREDを立ち上げた経緯を教えください
2006年の夏、ユタ州パークシティーで友人とマウンテンバイクライドを楽しんでたんだ。その時の会話の中で、新しいゴーグル&ヘルメットのブランドを始めるアイデアが生まれた。今はビジネスパートナーでもある友人はパークシティーローカルでトップスキーヤー。そんな彼と、まずは自分自身や周りの人たちが自然の中でできる限り安全に楽しく遊ぶために、最高峰のテクノロジーを追求したユニークでファンなデザインのプロダクトをつくろうと決めたんだ。特に、当時のスキーシーンは退屈なプロダクトばかりだったからね。

-SHREDというブランドにはどんなコンセプトがありますか?
SHREDのベースはフレンドシップと山遊びへのピュアな愛。僕らは、みんながもっと多くの時間を家族や仲間と自然の中で過ごすようになれば世界はより良い場所になると信じている。山で過ごす時間をより楽しくより安全にするプロダクトを送り出すことで、そんな変化をインスパイアしたいと常に考えているんだ。

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オフィスの廊下。ライダー達のパネルとゴーグル最新コレクションの一部が飾ってある
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ディスカッションが飛び交うエンジニアリングルーム。プロダクトの開発に情熱を注ぐ理系チームだが、みんな休日には山へ足繁く通うスノーボーダーやスキーヤーばかり

-どんなキッカケで特徴である広い視野(SHRED WIDE)が生まれたのですか?
ベストなプロダクトをつくろうとする結果として自然に、いかに広い視野を確保するかという事にフォーカスするようになった。フィットと視界はゴーグルの要だからね。ゴーグルのパフォーマンスを上げれば安全性が高まるし、滑りをよりプッシュする事ができるんだ。

SHRED WIDE 

広い視野を確保することは、ゴーグルの性能を語る上で重要なポイントだ。しかし、多くのブランドはデザインを優先して設計しているために、外観上は視界が広そうに見えそうでも、実際に着用してみると期待を裏切られることがしばしばある。つまりレンズの面積が広くても、視界が広いとは限らないのだ。フレームの大きさ、高さ、張り出しの角度などをエンジニアが綿密に計算しつくしたSHREDは本当の意味での広い視界を提供している。

上のゴーグルからの視界を見比べるとその違いがわかる
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SimplifyというモデルはSHRED WIDEに加え、3ステップでレンズを交換出来る「1-2-3レンズ交換システム」を採用。非常にシンプルで簡単に素早くレンズを換える事が可能
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撮影中にオフィスに届いた17-18シーズンのNEWカタログ

-カルロさんは社長でありエンジニアでもあるそうですが、エンジニアとしてのゴーグル開発へのこだわりを教えてください
僕は、エンジニアとしては究極の完璧主義者。正直、まだ心から完全に満足したことはないよ。常に改善出来るところを見つけては、僕らの “夢のプロダクト” に少しでも近づけるためにトライし続けいている。フィールドテストは僕が中心になって、これなら胸を張って送り出せるというレベルになるまで、とにかく何度も何度もやっているよ。

-SHREDはイタリアでプロダクト作り(研究開発)、マーケティングをアメリカでおこなっていると聞きましたが、それぞれの場所で分けている理由を教えてください
僕の出身地のイタリアには伝統的に素晴らしいテクノロジー、エンジニアリング、デザインの風土がある。才能ある若いエンジニアが沢山いるし、R&D(研究開発)には良い環境だよ。一方でマーケティングは、僕らの情熱の源がある場所にあるべきだと思ったんだ。僕らの情熱っていうのは、スノーボード、スキー、マウンテンバイク。それらの山遊びのルーツはアメリカだ。最近、僕らはオフィスをカリフォルニアの海沿いから、世界有数のトレイルやテレインがあるパークシティーへ移したんだ。僕ら自身がもっと山の近くに居たいというのはもちろんマーケティングにおいても、できる限りライダーやお客さんの近くに居るのが自然だと考えたんだ。全て有機的な流れの中でできあがってきた体制だよ。

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SHREDのイタリアオフィス。ベニス本島にほど近いビルディングに入っていて、ベニスらしい運河沿いの景色を眺められる
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11月時点ではまだ工事中だったパークシティーの新オフィス。ディストリビューターのCPIチームが訪問

-海外、日本とどのようなライダーを選んでいますか?また美谷島 槙、布施 忠の印象は?
自分のやっていることに愛と情熱を持ってるライダーを選んでる。僕らの会社がそうであるようにね。いつも向上心をもって自分の限界を押し上げる姿勢、それがみんなを山へ向かうようインスパイアするんだ。ブランド自体もライダー達がやってることに日々インスパイアされてるよ。シンとタダシは本当に素晴らしい。彼らはブランドがライダーに求めること全てを体現していると思うよ。彼らは常に高い目標を見据えて努力を惜しまない。そして信じられないようなスタイルとエレガンスでやり遂げるんだ。それに自然への愛とリスペクトが溢れてる。彼らと一緒に働けることを心から誇りに思ってるよ。

-日本のスノーボードシーンをどう思いますか?
最高にクールでスペシャル!いろんな意味で世界のスノーボードシーンをプッシュしてる。ブランドとしても品質、性能、スタイル、あらゆる点で高いレベルが求められる日本のマーケットは常にチャレンジングだよ。

-今後、ブランドをどのように展開していきたいですか?

まずは “夢のプロダクト” を目指して誠実なモノづくりをずっと続けていきたい。僕らは小さなインディペンデントなブランドだけど、世の中をインスパイアできるような存在になれればいいな。

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アルヴァ(左)とカルロ(右)。ブランドディレクターのAlvaro Vogel(アルヴァ)はtrue colors filmを主催する元ライダーで、ヨーロッパと北米を行き来しながらスノーボードチームのまとめ役も担っている

BUMPER HELMET TECHNOLOGY
ヘルメットにも力を入れるSHRED独自のテクノロジー「ローテーション・エナジー・システム」。ヘルメットの内側の構造が転倒した際に生じる回転エネルギーを分散し頭に伝わりにくくなっている。一般的なシステムのように重くなったり厚みが出ることなく、効果的に衝撃に対応する。


http://shredoptics.jp/

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