白馬八方尾根スキー場の黒菱ゲレンデを高速カービングで攻める

スタイル全開に繰り出すエアーから、白馬の特徴的なテレインを巧みに遊び尽くすボード捌き。そして険しい山々でのラインに至るまで、オールラウンドなスノーボーデイングを体現している山崎恵太。この企画では、今シーズンK2の新たなラインナップに加わった「パーティープラッター・ジャパンリミテッド」を白馬フィールドで滑り倒してもらい、そのフィーリングを聞いた。
Photo: Go Ito

PARTY PLATTERの魅力

今号、FREERUN12月号の表紙を飾った山崎恵太(以下、恵太)。白馬で活動するマウンテンフリースタイル集団HACHIクルーのオリジナルメンバーのひとりであり、SWELLというバンドの一員としても活動する。その両面で冬の白馬シーンを盛り上げ、独特の感性を持つ彼のライディングとライフスタイルは見る者を魅了する。2019年には、自身のホームでもある八方尾根で開催されたFWT(FREERIDE WORLD TOUR)の日本人予選FWQで見事優勝したことも記憶に新しい。
今まさに注目を集めるライダーである恵太に、K2 SNOWBOARDINGから今期新たに展開される「PARTY PLATTER LTD」のボードをフィーリングテストしてもらった。このモデルは、K2のチームライダーたちのリクエストにより誕生したオールテレインボードで近年人気を集めている「PARTY PLATTER」のジャパンリミテッド。より日本のスノーボーダーに向けて開発された最新モデルになる。恵太自身も通常モデルを乗りこなしているなかで、まずはPARTY PLATTERを選んだ理由から聞いてみる。

白馬の山並みをバックに板のフレックスを使ったテールスラッシュ

「昨シーズンはPARTY PLATTERの157㎝に乗っていました。このボードに乗る以前は、ディレクショナル形状でテールの短い板を選んでいたんですけど、今の自分のスタイルにピッタリなボードを探すなかで、パウダーボードでスイッチスタンスでも滑れるこのモデルをチョイスしたんです。ノーズ形状もバランス良く、昨シーズンから板の形状がフラットからキャンバーに変わったこともあってこれに決めました。キャンバーはボードからの反発があって、ターンでもより身を預けられるんですよね、その反発がすごく好きで。乗り味で気に入ってる部分は、ターンも気持ち良いし地形でも遊べる。ジャンプでも頼れるし、硬いとこも急な斜面もいける。まさにオールランドなところです。自分が乗っていた157㎝は、一番長いサイズなので、俺の身長(165㎝)体重(62kg)からすると少しオーバースペックなんですけど、白馬のタフなフィールドならこれくらいのサイズが必要かなと思って試しに使ってました。タイトなツリーにも入っていけてたし、そのサイズでも全然ボードを操れましたね」

右が昨シーズンのPARTY PLATTER 157㎝、左が今期NEWモデルのPARTY PLATTER LTD 152㎝

PARTY PLATTER LTDが持つポテンシャル

今期、日本限定で発売となった「PARTY PLATTER LTD」。前述した「PARTY PLATTER」のファイバーグラスを調整し、より日本のスノーボーダーが親しみやすく使えるようにとフレックスをソフトに改良している。つまり『より柔らかい』特徴を持つ。サイズは152と147㎝が展開され、今回恵太には152㎝を実際に使ってもらった。はたして、このボードが持つポテンシャルとは。

恵太には実際にPARTY PLATTER LTDの152㎝を白馬フィールドで使用してもらった

「JAPAN LIMITEDを乗った印象は、少し柔らかいフィーリングを感じながらも、ボードのハリはちゃんと残っている感覚でした。元々のPARTY PLATTER自体がそこまで硬いとは思わなかったので、このモデル自体が持つコンセプトは変わらずに、より扱いやすさに重点を置いている感じがしましたね。結構良くしなる板なんで、ボードのしなりを使ったマニュアル系のトリックが特にやりやすかったです」

コースサイドの地形でノーズマニュアル。ボードのソフトフレックとしなり具合がイメージできる
フレックスを最大限使ったスラッシュ

「今回乗った152㎝がビックリするくらい調子良くて…、俺は152㎝の方がベストサイズだったことに今更気付きました(笑)。サイズが短くなることで、細かい動きやオーリーとか、全てにおいてボードの取り回しが楽になって、よりスタイルも出しやすくて面白かったです」

恵太がメインフィールドとする白馬は、比較的スティープな山でタフなゲレンデが多いという印象だが、152㎝という短さとJAPAN LIMITEDの柔らかさという面で、ライディングに支障はないのだろうか。

「白馬でも十分使えますね。一般的なボードよりも短いけど、全体的にファットなアウトラインでウエストも太い。だからパウダーでの浮力も問題なかったし、カービングターンでもバインディングが当たらないくらいまでしっかり倒せるんです。太さがある分ボードに頼れるところがあって、スピードやランディングでの安定性は残しつつ、特にノーズとテールの扱いやすさは日本人向けに作られてるなと思います。柔らかいと言っても、『柔らかい=頼りない』っていうことではなくて。落ち込み地形でB3インディーをやっているシーンなんかは、着地がボコボコでカチカチなところに突っ込んでるんですけど、全然余裕にランディングできました。『柔らかいけど安定感もある』日本人の体型やライディングスタイルにあってると思うし、ゲレンデでオールラウンドに遊ぶにはオススメですね。それに、グラフィックも昔ながらのオールドスクールなのも好きです。ロゴデザインのクラシックさに加え、蛍光色の入ったソールは、エアーでトゥイークしたときなんかにバッチリ目立つと思いますね」

白馬乗鞍でのツリーもこのボードでテスト。短く太いボード形状によってパウダーでも安定感がある
ウエスト幅があるためトゥーサイドターンでここまで倒しても問題ない。キャンバーボード特有のボードの反発を感じながらキレるカービングを魅せる
八方名物・通称「パノリン」コースの落ち込み地形でB3インディー。ランディングは荒れているが余裕で着地
八方スカイラインコースの落ち込みギャップでトゥイークを繰り出す

 

PARTY PLATTER LTD
人気のパーティープラッターを、より親しみやすく使えるようにフレックスをソフトに調整したジャパンリミテッド。通常版(138, 142, 147, 152, 157cm)と同じ価格で、滑り手のフレックス好みに合わせてチョイスが可能になった。デッキグラフィックにはシンプルなブラックベースカラーを採用し、ソールは蛍光グリーンのカラーが際立つ。小柄な人や、女性のためにレディースらしいピンクカラーで138, 142cmも同時展開。

Base line: Directional Combination Camber
Size: 152, 147cm
E.edge:104cm / 101cm
Waist: 27cm / 26.2cm
Setback: CENTERED
Price: ¥72,000(税別)

PARTY PLATTER LTD(ジャパンリミテッド)に乗り2日間白馬フィールドを滑り倒した恵太。そのフィーリングは想像以上に良かったようだ

 

白馬フィールドの魅力

八方の麓で実家が営む宿(ホテルドゥエール)で生まれ育った恵太。最近は子供が誕生したのを機に隣の小谷に家族で移住した。幼少の頃から白馬を滑り込んできた彼は、このエリアの魅力をこう話す。

「白馬のフィールドは多種多様だと思いますね。ゆるくて気持ち良く滑れるところや、斜面が急でかっ飛ばせるところもある。あとは南北に広いので、雪があるところや風の影響が少ない場所を選べるところですかね。サーフィンみたいに、その日のコンディションでポイントを選べるのが魅力だと思います。自分は八方をメインに滑ってきましたけど、全体的に斜度もあってコブ斜面になりやすいので基本的にはタフなゲレンデだと思います。でもコースの至るところに飛んだり当てられるヒットポイントがあるんです。なかでもパノラマコース、通称・パノリンは外せないですね。基本は林道コースの迂回路なんですけど、フロントサイドの壁や落ち込み地形もあって、俺らHACHIクルーの中での道場です。クルーみんなで朝一から滑るときは、ゴンドラでまずリーゼンコースのピステンバーンをカービングでかっ飛ばして、パノリンに流れるルーティンが多いです」

八方パノリンでのB3インディー

この冬、HACHIクルーはチームムービーではなく、それぞれのソロパートとしてライディングやライフスタイルを表現する映像を制作し配信していく予定のようだ。最後に今後目指していきたいスノーボーダー像を聞いてみる。

「滑りで言えばターンを一生追求していきたいですね。そのなかで、もちろんスタイルも重要視してて、動きだけで俺って分かってもらえる滑りを表現したいです。まずは撮影でヤバい写真と映像を残すのが一番の目標で、今できていることを高めていきたい。ナンバーワンよりもオンリーワンを目指していきたいんです」

スタイル全開にテールで地形を当て込む恵太。このライディングスタイルがまさにオリジナル

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