@グランヒラフスキー場vol.2水上真里の「バックカントリーゲレンデ」

この企画はバックカントリーのようなゲレンデを紹介するというものである。バックカントリーを滑っている私に対して「スキー場以外で滑ってみたい」「1人で雪山に登ってみようかな」などのコメントが多く寄せたれたことがきっかけとなった。

バックカントリーガイドに連れて行ってもらうにしてもツリーランや深雪を滑るのは本人のスキルだけが頼りだ。まずはバックカントリーのようなゲレンデでスキルを磨いて段階を踏んで、経験値を積むために全国各地でバックカントリーのようなゲレンデを紹介したいと思って始めた企画である。

前回のグランヒラフスキー場は1人での撮影だったが、

今回は急遽2人のライダーと一緒に3人でセッションすることになった。

ニセコに住んでいるローカルの永田学さん。

そして世界で活躍する美谷島慎くん。

この2人と滑るのは今回が初めてだった。

この広大なバックカントリーのようなゲレンデでどんな滑りを見せてくれるのか楽しみだ。

グランヒラフスキー場の広大なゲレンデ。山を丸ごと滑っている感覚だ。

 

学さんはつい先日ニセコのバックカントリーの聖地、

イワオヌプリでばったりと出会い、

一緒にイワオの東面を滑ったばかりだった。以前から知ってはいたが、

雪山で会うのは初めてだった。

どちらかというと、飲み屋で酔っ払っている姿しか見たことはなかった笑。

太陽の下が似合うというイメージではなかったくらいだ。

 

そしてその学さんにニセコを慎くんがアテンドしてもらっていた。

グランヒラフでこの2人とセッションできるのはラッキーだ。

どの斜面をどんな風に滑るかとても興味深かった。

この日も雪は軽く時折太陽も出ていた。撮影には最高の日だ。

 

スピードを上げればパウダーもさらに上がる。滑り甲斐のあるグランヒラフの雪質だ。MARI

リフトを降りてからのフリーランで二人の上手さがに刺激された。

性別も年齢も出身地も違っても、

雪の上で一緒に滑ればすぐに仲間意識が芽生える。

これもスノーボードの魅力の一つだろう。

同じ撮影メンバーとして、

各自が狙っているポイントをスムーズに滑れるように

着地はどんな感じかなど情報を細かく伝え合う。

スタイルある美谷島真のインディーグラブ。

慎くんはオーリーひとつでどこでも簡単に斜面を飛び越える。

ここを飛び越えるというのは私のイメージの中にはなかった。

「この斜面をこういう飛び方もできるのか!」

新たな発見をさせてもらえた。

ライダーによって選ぶポイントは違うが、

そのポイント選びを知ることによって

自分の中でも新しいイメージが湧くようになる。

 

永田学のミュートグラブ。スムーズな流れのジャンプだった。

学さんは同じグーフィーということもあり、セッションしていて

狙っているポイントも似ていた。

でも私ができるだけラインの入っていない斜面を探しているのに対して

「俺も昔はそんな感じだったけど、

今はもう逆にノートラック滑るのが恥ずかしいよ。」

と言っていた。

なんで恥ずかしいのか。。。

理解できない部分だけど、

スノーボード歴が10年長いからたくさんノートラックを滑ってきたってことかもしれない。

10年も長く滑っていたらまた感覚も違うのだろうけど、

私は多分一生ノートラックにこだわって滑るような気がする。

ライダーの感性も人それぞれだからこそ面白いのだろう。

木々に囲まれて小鳥の囀りまで聞こえてくる。まさにバックカントリーのようなスキー場だ。

 

パウダーがまだ残ってそうな場所をローカルの学さんに連いて探し続けた。

森の中にはまだまだ残っている場所があった。

ポイントを見つけては撮影をし続けた。

滑るだけで簡単にオーバーヘッドパウダーが上がる。
どこを切り取ってもパウダーはずっと上がったままだ。

撮影も後半に差し掛かってきたところで、

慎くんがマッシュジャンプを見つけて「あれ、飛びます。」と言った。

ジャンプをするときそれなりに時間をかけてイメージトレーニングをして

呼吸を整えて、着地をチェックして飛ぶものだと思っていたけど、、、

ささっと準備してサクッとメイクした。

フロント360のスタイルのあるメランコリーグラブを入れて軽々着地した。

 

スタイルの入った美谷島慎のフロントサイド360メランコリーグラブ。

正直私の中では結構衝撃的だった。

慎くんは通常のゲレンデのフリーランをする時から

飛んだり回ったりしていたからか、このマッシュでも軽々とメイクしていた。

やっぱり普段やっているからマッシュでもすぐにできる。

改めて当たり前のことに気付かされた。

ジャンプやスピンに慣れておくこと。私も今後、意識して取り入れていこうと思えた。

 

木々の上に降り積もった雪を見ているだけで癒される。

 

いつもと違うメンバーと滑るといつもとは違う感性をもらえる。

特に圧雪されたバーンではない、

非圧雪のパウダースノーが積もっているゲレンデなら尚更そう感じる。

マッシュの形や着地の斜度など同じものはないからだ。

2人に影響されて、さらに上手くなりたいという意欲が湧いてきた。

スノーボードは何年経っても飽きない、というか本当に奥が深い。

毎年気付かされることが多い。

 

ニセコのJapowはここでしか味わえない。

スノーボードの板やバインディング、

ブーツ、ゴーグル、ウエアー、グローブ。。。どれをとっても

毎年改良されて進化し続けている。

そしてSNOWBOARDERたちの技術のレベルもどんどん進化し続けている。

ゴールがないからこそ奥が深いと感じるのかもしれない。

雪から出てくる感覚が味わえるのもニセコならではだ。

今回、このメンバーで滑れたことで

スノーボードの歴史や進化を考えるきっかけになった。

そしてバックカントリーのようなゲレンデは

ただ、滑っているのが楽しいっていうだけではなく、

雪のことや風のこと地形や木の間隔など自然について沢山考えて滑るようになると思う。

「昨日は風が北西だったからあっちの斜面に雪が溜まっていそうだね。」とか

「今日は視界が悪いからツリーランが良いだろうね。」とか

バックカントリーに近いゲレンデでこういう経験を積んで、

いざ実際にバックカントリーを滑ったらとても役に立つと思う。

 

 

こういうスキー場で

経験値を積めば実際にバックカントリーに行った時も

スムーズに滑走できることだろう。

しかしいくらスムーズに滑れるからと言っても

実際にバックカントリーに行くときは

基本的な装備をつけて、

バックカントリーガイドに案内をしてもらうことをお勧めする。

自然相手に勝てる人間はいない。

 

だからこそ常に敬意を持って謙虚な気持ちで学ぶ姿勢が大事だと思う。

ニセコのグランヒラフのような自然に近いスキー場は

そんなバックカントリーへ近づく近道だと思う。

私もまた来シーズンもグランヒラフスキー場に滑りに行きたいと改めて思った。

やはりグランヒラフスキー場は何年経っても

バックカントリーのような最高のゲレンデだった。

 

 

ライダー

水上真里(みずかみまり)スノーボード 歴26年

GNUsnowboards,Norrona,Drakebindings ,Northwaveboots,Spy goggle,Hestra gloves

グーフィースタンスF21 R3  51.5センチ

 

カメラマン

MZKphotofilms(エムゼットケーフォトフィルムズ)