わたくしにとってのキングスとSNOVA

長野に行けば小布施キングス。関東に戻ればSNOVA。
この二つの施設を主にこのオフシーズンは利用させてもらってます。

小布施キングスは我がチーム「FIRST CHILDREN」の母体の会社・ポーザーズプロダクション(佐藤康弘社長)所有施設。

SNOVA溝の口はプロ活動がある程度軌道に乗ってきたときにお誘いを受け、サポートさせてもらうことになったスポンサー施設です。

ヤスさんは俺が駆け出し始めた頃から活動を見てくれているので、SNOVAと小布施を行き来することにとても理解を示してくれています。
SNOVA側も、契約時に「契約しても活動の幅を狭めないために他の施設にも行く」という自分の意見に理解してくれた上で契約させてもらいました。

で、両方利用してると、単純に「オフシーズン施設」と括ってしまうほど単純ではないのです。

まず、SNOVAはやはり雪面(雪ではないですが)がある。一番雪山を近くに感じられるものです。技の完成、転倒時の危険度、雪を踏む感触、全てを知ることができる。
昨今撮影する回数が増えたジブのトリックや、今までのパークジャンプの完成度の向上は全てSNOVAで身に付けたものです。

対してキングスはやはり普段できないようなトリックにチャレンジできる。
危険度の高い大技の練習をしやすい。
やはりダブルコークが雪山で出来るようになったのはキングスが無ければ絶対に無理だったでしょう。
雪面での基本的な体のポジショニングなどを練習でき、それができればかなり自由度の高いブラシアプローチが可能です。
また、大技でなくとも、マットの上でうまく転ぶことができればとにかく何でもトライしやすい。
ジャンプに対する恐怖の気持ちが楽になる分、実にポップにジャンプそのものを楽しめるところだと思います。

なので神戸キングスで練習をし始めた時から、
1「キングスで大技をいくつか練習」

2「着地姿勢が安定したらそれをSNOVAで練習」

3「雪山でチャレンジ」

の流れでやってます。

流石にダブルコークはSNOVAのキッカーでは出来そうもないので雪山でぶっつけでやりましたが。
ただし軸ズレBS900テールや、SBロデオをはじめとしたいくつものトリックがこの流れで出来るようになったのです。

現在はアンダーフリップ900が2の段階にあり、安定してきたので冬に試すのを待っている段階です。

雪山でトライする何が難しいのかというと、雪山パークは長い距離を滑っている流れの中でやるという「その技だけに集中する」ことがしづらい点やコンディションが日々違う点などであり、反復練習がしづらい。

その前にSNOVAである程度余裕をもって出来るようになっていないと痛い目を見そうな気がしてくるのです。

そしてSNOVAで試すにも、キングスの着地がマットだからと甘えて、いつまでたっても着地無視のジャンプをしている状態でSNOVAや雪山で試してもいつか痛い目を見ます。

悪い例として
・・・SBロデオがキングスで足から着地できるようになったときに、精度を高めずにすぐに試しに行きました。その時は足から降りているから平気だと思っていたのですが、着地の時の上半身のかぶせ方が悪いままでやったので、着地後に板を制御できずに逆エッジで激しく辛い思いをしました。

・・・単純にぶん回して回りきることができたダブルバックフリップ。滞空時間や回転制御などを覚えずにさらに無謀にもSNOVAでトライ。→一撃でアバラ骨折。

という悪い事例も経験であります。ですから
・雪の上では始める勇気がわかない(自分にとっての)大技はキングスでトライ。
・マットの上では出来たか出来ていないかは想像の範囲でしかない「着地」はSNOVAでスキルアップ。

そしてマニアックなところだと
上体の使い方などのポジショニングはキングス。
雪の足裏感覚はSNOVA。

ざっくり言うと、技の精度を8割まではキングスで上げて、あとの二割はSNOVAで。

SNOVAでできなそうな技はキングスで最初の8割は鼻歌交じりでできるレベルに仕上げてから残り二割を雪山で気合でトライ。

安全に雪山でケガを減らして過ごし、尚且つ確実に上達するには自分にとっては今は最善の流れがこれだと思ってます。

思い切りのいい若者は1→3にステップすることができるかもしれない。
はたまたいきなり3から始められる人もいるかもしれない。

でも、俺なんてプロって言ったって20歳からスノーボード始めた雪山なんてどこにもない埼玉出身の普通の中流家庭に育った人。
スノーボードに対しての才能や血統なんていう天性は全く備わってない人間なわけですよ。
1→2→3を順序よく、でも短い時間で圧倒的に回数をこなして。実直にやって。
その結果として、他のプロライダーと同じ場所に並んでいけるように頑張っていきたいです。

ここまでは俺の話。
楽しさや楽しみ方を伝えるのは大前提で当然。
ただ、それプラスやっぱりプロライダーとしての自分をサポートしてくれているので、そこでリアルに実力を上げていくってのは自分に絶対に必要な事だと思ってます。

ただ、来る人はそれぞれのスタンスで楽しんで欲しい。
みんながダブルコーク目指す必要はない。

単純に普段飛ばないサイズを心ゆくまで飛んでみたいからキングスで飛びます!
って人もいる。
自分はジブしかやらないのでジャンプは興味ないしSNOVAのレールだけあればお腹いっぱいです!!
って人もいる。
行けば友達がいるから楽しい!
でもいいです。

行く人それぞれに、通う中でそこに行く意味や価値をそれぞれ見出して楽しんでくれることが一番だと思います。

これが言いたかった。